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09年中学入試に向けて[07] 世界に通用する大学に進める中高一貫校③

08 ☆世界に通用する大学に進める共学の中高一貫校(東京都)について、前回、前々回と同じように一覧を作りました。その際、中高一貫校ではありませんが、都立高校の進学指導重点校を加えました。

☆世界に通用する大学に進学するだけならば、何も中高一貫校を選択する必要はないということがわかります。ここからも中高一貫校を選択するのは大学進学実績や偏差値だけではないということが推察できます。

本田由紀さんは、中学3年のときの成績が、その後のモダニズム日本企業におけるキャリアデザインに大きく影響すると調査報告をしています。そしてその成績を形成する子育ては「きっちり型」であると。しかし、一方で、ポストモダニズム社会を迎えている日本の文化においては、小学校からの「のびのび型」子育てがポイントであるとも。

☆「きっちり型」か「のびのび型」か。社会の趨勢によって変わってしまう。つまり公立の学校は、社会の趨勢とそれを操作している国の教育行政の圧力によって変わってしまうのです。

☆しかし、人間形成は、古くて新しい問題ですが、「きっちり型」も「のびのび型」も両方必要でしょう。この両方を、単に物理的時間でバランスをとるのか、第三の道として新しいスタイルを形成するのかは方法は分かれます。

☆ワークライフバランスなどというのは、物理的な区分けが中心です。しかし、欧米で30%から40%占めていると言われているクリエイティブ・クラスのクオリティライフは、イノベーションによって、仕事も生活も、創造的時間と化します。このイノベーションは、どこから生まれてくるのか?それは3Tですね。Talent, Technology, Toleranceというものです。では、この3Tは?リベラルアーツによって作られます。

Photo ☆なんだ古いなあと思うかもしれませんが、このリベラルアーツは階級社会の中にあって、アッパークラスの子弟に行われてきたものです。21世紀というフラット世界にあっては、このリベラルアーツが世界中のすべての子供たちに浸透しなくてはなりません。わたしはこのリベラルアーツのベースになる子育てを「わくわく型」と呼びたいと思います。

☆遊んでいても学んでいても、興味と関心でわくわくし、だからアハ体験もできるわけです。しかし、わくわくは枠枠でもあります。人間としてのルールは必要ですね。名門高校に入学するのはきっちり勉強を積んできた生徒がほとんどです。高校段階でリベラルアーツをしている時間はありませんね。だから、かつての公立の名門高校は、とりあえず世界に通用する大学に進学させる教育に特化せざるを得ないのです。この事実は、1998年黄順姫さん(当時筑波大の助教授)が「日本のエリート校」で調査して検証しています。

☆そしてその象徴的な出来事が、都立高校の進学指導重点校の拡大です。2001年に、日比谷高校、戸山高校、西高校、八王子東高校が指定され、2003年には、青山高校、立川高校、国立高校が加わりました。この指定期間は、2013年までです。つまりゆとり教育を捨て、学力向上路線の新しい学習指導要領が開始される直後まで続くのです。「のびのび型」から「きっちり型」へ進むのですね、世の中は。本当はゆとり教育は「のびのび型」を目指したのではなくて、「わくわく型」を目指したのです。

☆日本は経済の空白の時期を迎えましたが、そのときは世界は脳科学の時代だし、IT革命の時代です。どう考えても「わくわく型」を進めなくてはならなかったのですが、時代を読める戦術家リーダーがいなかったのですね。そのため戦略が負けたのです。コードギアスでは、「戦略は戦術に負けない」と言っているのですが・・・。つまり文化エリアではそうなのですが、政治・行政エリアでは戦術が勝ってしまうのですね。

☆ともあれ、「きっちり型」の弱みは働き過ぎ。「のびのび型」の弱みは、働かなさ過ぎ。高ストレス社会で抑圧されるか、逃走するかのどちらかで、高ストレス社会を変容できない教育です。そりゃまあ、モダニズム社会にしがみつくわけですから、変える必要などないのです。

☆しかし、国際社会がそれではダメだと迫ってきています。また日本社会の文化はそれを受け入れているというか、19世紀末からすでに先行しているというか・・・。教育は国家による操作のもとにあります。日本社会の文化はその操作に対抗できる手段をもっていません。醸成されうまい酒はできます。だれかがそれを飲んでくれなければ・・・。それはまたしても外からの人材によって評価されるのですね。

☆もちろん、そうは言っても、その泉があることを表現する人材が必要です。かつての津田梅子のように、新渡戸稲造のように、内村鑑三のように、南原繁のように。かれらは新島襄、江原素六、福沢諭吉が醸成した教育や文化を世界に広めたあるいはつないだ人々です。みな私立学校にゆかりのある人ばかりです。

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