08全国学力テスト“08” 小6国語学テの意味するコト④
☆今年の全国学力テスト小6の国語の問題の習熟度別レベルの出題割合分布を、今度は共立女子の今年の国語の中学入試問題(入試日A)と比較してみました。結果は、グラフを見ての通りです。
☆やはり、レベル4、5、6の領域に差異があります。共立女子の入試問題は、今どき珍しいのですが、記述や論述の問題が出題されません。漢字の読み書きや抜き出し問題以外はすべて選択肢問題です。センター試験に近いイメージですね。選択肢の数もほとんどが5択です。ですから記述式や論述式よりはっきり生徒の思考の深さがわかります。
☆ただし、選択式問題で、批判的思考や創造的思考のレベルをみる問題を作るというのは、実はなかなか難しいんですね。ある意味思いきり解答を誘導せざるを得ない部分があるんですね。ですから一般の読解リテラシーの問題では、選択式形式で、このレベルの問題は出題されないのです。
☆まして全国学力テストの場合、選択式問題でそのような挑戦はしないでしょう。もし出題したら、たいていはうまくできていないので、あらゆるところから非難が集中してしまいます。記述や論述だとその非難を交わすことができますね。
☆ということは共立女子の選択式問題の創意工夫というのはたいしたものだと言わねばならいということになります。何せ私が知る限りこの形式は20年以上も続いているのですから。それだけ選択式問題の創意工夫のノウハウが蓄積されているということでしょう。
☆思考の深さという点では、まずは表面から内面に視点が移っていったり、物理的時間と空間が心的に時空として融合していく感覚、物象から関係性を開いていく思考など実によく工夫されています。共立女子を受ける受けないにかかわらず、ていねいに解くと、読解リテラシーとは何かというのが身に染みてわかるでしょう。
☆共立女子を目指して勉強している生徒は、このレベル4、5、6の問題が30%弱出題されていますから、ここを無視することはできません。合格するには68%ぐらいとらねばなりません。レベル3以下の問題をすべて解ければ問題はなさそうですが、そうはうまくはいきません。広く深く考える習慣を身につけておく必要があるのです。そしてそういう勉強の仕方をしておかなければ、共立女子に入学してからがたいへんですね。
☆ともあれ、国語の問題を通して、共立女子の教師の質の高さがわかるし、テキストとして選択されている詩や物語、説明的文章からは、子供たちの問題意識を喚起するテーマへの先生方の熟慮が了解できます。テキストを選択する見識こそ子供たちの好奇心を呼び覚ます教師の力量です。この点に関しては、全国学力テストはまだまだです。文科省の操作性が行き届かないという点ではまあ良いのですが、そのようなテストを解いている時間がもったいないような気がします。誰のためのテストなのか・・・ということを改めて考えてもらいたいものです。
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