世界を変える学校[16] 開成の知①
☆開成学園の生田清人先生は、駒澤大学で社会科教育法を講義されています。多くの学生が生田先生の授業メソッドをプラグマティックかつ論理的に身につけ、教育現場に巣立っていきます。
☆生田先生は、開成学園でも駒澤大学でも、生徒・学生に自ら思考した産物を論文集・レポート集にまとめます。その数はおそらく膨大でしょう。今回もその一冊、最新のレポート集「地理と歴史の授業研究(3) 多様な視点から『授業』を創る」をいただきました。
☆学生の授業企画案とそれに基づいた教材プリント集で、優秀な制作物を集めています。授業を構造化する視点、生徒が考えていく過程と変化の段階の想定が明確になっています。そしてその授業構造によって支えられるコンテンツが、教科を超えた多様な視点から成り立っています。
☆構造視点とコンテンツ視点のDNAのような結びつきが美しいし、内容も読んでいてワクワクしてきます。こういう授業を受けられたらモチベーションもアップするし、考えることも楽しいだろうなと思います。そこには学びと遊びが高度に結晶した知そのものが存在しています。
☆そしてこのような授業が開成学園でも実際に行われているわけです。生田先生は序でこう語っています。
・・・「多様な視点で『授業』を創る」ことをテーマにするのは、受講生(学生)の教師としての力量形成の支援ということだけでなく、わが国の学校教育がそれぞれの教科・科目の壁で仕切られ、「こどもたちの学び」を統合的・総合的に考えてこなかったことや、どんな学習課題を学習させるかという議論に終始して「こどもたちの読み解き」というレベルにまで深化させて考えてこなかったことに、根本的な問題があるということを具体的な形で伝えたいという思ったからです。
☆今回の本の目次に「ゆさぶりのある授業を『つくる』」という章がありますが、ゆさぶられるのは生徒のみならず教師自身でもあり、文科省自身でもあります。世界を変える授業。これが生田先生の知から生まれ出るし、その知は開成の知を構成する1つの大きな力でもあるでしょう。
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