世界を変える学校[19] 開成の知②
☆「世界を変える学校[16] 開成の知①」のつづきです。生田先生は、授業構造の視点とコンテンツの視点の統合性を、お弟子さんたちに求めていると思いますが、具体的に少しみてみましょう。
☆ちょうど大河ドラマで「篤姫」をやっていますから、生田先生が編集された「地理と歴史の授業研究(3) 多様な視点から『授業』を創る」から「公武合体と尊王攘夷運動」という授業企画案と教材プリント案を見てみますね。
☆国内と国外の動き、公家と武家の関係、公武合体と尊王攘夷運動の関係、イギリスとフランスの世界戦略の違いというきれいな比較の視点が、授業の中で立体的に組み立てられています。
☆コンテンツの視点としては、内向きによるリスクの隠ぺいが、外からの圧力に耐えることができないという組織の力学が埋め込まれています。歴史の時間としては、幕末のことなのですが、組織の力学としては歴史から学ぶ点が多いというコンテンツになっているんですね。
☆この授業構造の視点は、生徒には編集の視点の学びになります。また、コンテンツの視点は一般化の発想と論理の学びにつながります。まさに「ゆさぶり」のある授業づくりになっているのです。
☆この教師の授業づくりの視点が、生徒の思考の視点にシフトする方法論は何でしょう。これは教師と生徒との対話以外にないのですね。生田先生がお弟子さんたちといつも対話をされています。それは開成の生徒たちに対しても同じです。
☆開成の知の形成の1つのプロセスが見え隠れするのが、この本の特徴です。ところで、「生田先生→対話①→開成の生徒」、「生田先生→対話①→駒澤大学の学生」まではわかりますが、「駒澤大学の学生→対話②→将来の生徒」との関係はどうでしょう。「対話①」と「対話②」の構造あるいはシステムの質は同じでしょうか。ここはブラックボックスですね。
☆ここが解明されれば、開成の知は広く世の中に浸透するのでしょうが、そうはなかなかうまくいきませんね。そしてだからこそ開成の存在の価値があるのです。
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