世界を変える学校[20]麻布の知①
☆ 「麻布の丘に(2007年10月20日発行)」の巻頭ページで、氷上校長は「教育とは何か」という論考を載せています。内村鑑三の教育論、江原素六の教育論、氷上先生ご自身の麻布時代の経験論という3つのエピソードを示して、いずれにも共通している点を抽出されています。
☆その共通点について、氷上校長はこう語っています。
教育とは何かという問いは、すなわち、人間とは何かという問いとほとんど同義である。人間理解が教育問題のすべてだ、といってよいのである。世の中の流れがどうあれ、自由をその校風とする麻布学園の教育は、人間にとって、個性とか主体性がいかに大切なものか、共に感じ、共に考え合う教育でなければならないと思う。
☆ここには麻布学園の見識があります。教育問題は、すなわち人間問題であり、自由の校風とは麻布独自の文化資本そのものであると同時に、人間を考える人類普遍のリソースでもあるのです。
☆しかしながら、市民社会としての人間の質の競争ではなく、資本主義的量の競争を教育に導入したり、教育の評価を外部評価という外発的圧力でなんとかしようという文科省の対処療法的な「改革」議論が騒然としているわけです。もはや教育の商品化とは関係のない教育の本質には興味がないという様相です。教育行政側に教育の本位に耳を傾ける人材はいないかのようです。
☆そこで「世の中の流れがどうあれ」麻布学園は「教育の真諦」を保守しつづけようと不易流行の覚悟を示しているのではないでしょうか。
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