世界を変える学校[21]桐光の知①
☆桐光学園が、2007年に実施した大学訪問授業を一冊の本にしました。そのタイトルは「大学授業がやってきた!知の冒険」(水曜社)です。あらゆる分野の大学教授18人の講義がまとめられています。
☆この出版の意義は、革命的です。創立30周年記念事業の一環であることの奥の深さが伝わってきますね。単純に30年たったから節目として、30周年史を出版しようというのもそれはそれで自らの系譜をたどる意味で重要ですが、授業の中身を出版しようというこの試みは新鮮です。桐光が30年で大飛躍し、これからも内生的成長を続けるだろう成熟期を迎えたことを象徴する一冊ですからね。
☆18人もの大学の教授とジョイントするだけでもすさまじく多忙なプロジェクトであることがすぐに思い浮かべることができます。単純にアポをとって、当日までの資料づくりだとか、場所の設営などの運営をして終わりというわけにはいかないのですね。
☆思想分野、医学分野、最先端技術分野、経済分野、法学分野、芸術分野などなどあらゆる領域に対する見識を広め深める先生方の膨大な探究と生徒の興味とマッチングを図るマーケティングの作業が大前提にあるわけです。
☆大学進学指導だけしているのなら、こんな時間と労力をかける必要はないのですが、なぜこんなことをするのでしょうか。これだけ大学進学実績を出していれば、それだけで生徒も集まってくるのですから、経営的にも何の問題もないはずです。にもかかわらず!
☆伊奈校長は巻頭言でこう語っています。
これから挑もうとする『知の冒険』に潜む胸躍らせる希望の存在と、その旅立ちのための中学高等学校での学びの意味を生徒たちに明示・・・
☆美しいフレーズですね。大学進学実績を上げるための進学重点指導をはるかに超える高邁な精神。これが教育そのものです。桐光の先生方は、ビジネスでもボランティアでも起業でもない、教育そのものに奉仕しているのです。生徒が日々大きく変化し、羽ばたいていける理由がここにあるのです。
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