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世界を変える学校[22]桐光の知②

☆桐光学園が、編集した本「大学授業がやってきた!知の冒険」(水曜社)を読んでみると、これは大人も楽しめるし、中学受験生も知的好奇心をもちながら受験勉強ができることに気づきました。

☆読書は大事ですが、その目的は様々です。知識を得るため、人生の悩みを解決するため、不安をケアするため、情報を収集するため、感動するため、自己を見つめるため、娯楽のため・・・。そうしているうちに、座右の銘に出会うことになるのですが、最も大事なことは自分の中の何かがカチッと音を立てて変わる本に出会うことでしょう。

☆「知の冒険」とはそういう自分を変化させる本かもしれません。ということは、もともとこの本のもとになったライブは、授業そのものです。授業を受けた生徒の何かが変わったということでしょう。

☆「授業という体験→<媒介項>→経験値アップ」というサイクルが桐光の知の仕掛けであるわけです。このサイクルの仕掛け人である教師の存在が桐光の価値を高めていますね。

☆ところで、このサイクルの<媒介項>はなんでしょう。おそらく授業のあと、感想文や授業に触発された自由研究などが必ず挿入されているはずです。生徒どうしの議論があったり、そこに教師も参加したりというようなシーンもあるのではないでしょうか。

☆また「経験値アップ」として、生徒はどんな変化をしているのでしょうか。進路決定とそこに向かうモチベーションがアップしたとか、今回の本に収録されている多木浩二さんの複眼視点や熊野純彦さんの思考回路そのものを体得し、使えるようになったという生徒も出現しているのではないでしょうか。

☆桑子敏夫さんの「トキをどう野にかえすか」という授業は、理系に進む人材のサバイバルスキルが語られています。分野横断的コラボとステークホルダーとの協力というチームワークやリーダーシップが最先端科学の世界でも必要だということですが、スポーツ系の部活をやっていた生徒が、これだ!と思った瞬間があったのではないでしょうか。

☆それにしても、この本を中学受験生が読んだらどうなるのでしょうか。「人間はなぜフィクションを必要とするのか」という宇佐美毅さんの文章は、受験生でもOKでしょう。この箇所を読む前に、受験生と「人間はなぜフィクションを必要とするのか」ということについて問答をして、その次に読んでもらう、そして再び議論する・・・。そんなサイクルでプレ授業して、ついてくる生徒がいたら、その生徒こそ桐光の教育理念に一致するのではないでしょうか。

☆もっとも、そんな真面目なプレ授業ばかりだと、生徒獲得戦略としては、微妙ですが・・・。いきなり知的楽しさを体験するのは難しいかもしれません。まずは体験そのものを大いに楽しみ、経験値をアップするのは入学してからのおたのしみというのが王道でしょうか・・・。

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