子どもの世界 親の思い[01]
☆少しおもしろいというか不思議な世界があります。年少から小学校6年生までの子どもが集まって週に1回、お絵かきクラスと月に一度読書と絵を結びつけたクラスを主宰しているアート・クラスがあります。小さなクラスで20人強でもう満杯状態なのです。口コミで集まっているので、特に宣伝はしていませんね。自治体の施設を使っているので、いわゆるボランティアベースということもあるのでしょう。
☆そこに集まっている生徒は公立小学校に通っている生徒も、私立小学校に通っている生徒もいるのです。幼稚園の子どもたちの中には、お受験組もいるのです。しかし、だからといって、受験勉強をするようなアートのクラスではないようです。
☆年に一度、子どもたちの成果を発表するイベントがあって、そこに家族で120人ほど訪れていますね。作品は静物画から創作絵本、協働絵画(模造紙7枚ぐらいつないだ大きなものですね)、粘土による彫刻、工作、油絵、パステル画など多種多様です。絵を書くワークショップもあるので、そこでは保護者どうしの対話もあふれていておもしろい空間ができあがっていますね。
☆そのイベントに訪れた人の中には、このアート・クラスに通っている子どもと同級生という家族も多いのですが、友だちの新しい側面を見つけて驚いています。
☆作品には、ふだんは知らない友人の世界が広がっているからですね。すべての子どもが絵が好きなわけではないので、このアート・クラスを選択している子どもは、もともと好きなのでしょうか。絵を描くときの集中している状態や持続力には感心します。
☆しかし、実は、はじめから絵が好きな子ばかりが参加しているわけでもないようです。保護者の話を聞くと、なるほどと気づかされるのは、絵も彫刻も、表現の選択肢の1つなんですね。子どもは自分の思いを、言葉や身体、音楽、絵画、数字などいろいろな形態で表現します。
☆ところが高学年になると、言葉が中心となるのですが、それがどうも違うのではないかと不安に思っている保護者が多いのですね。お受験をするしない、中学受験をするしないも、子どもの表現の選択肢をどのように豊かにするかを考えたうえで、選択決定をしているのです。
☆ママたちは、携帯電話や携帯メールを駆使しています。だいたいこのアート・クラスも連絡は携帯メールがベースです。携帯電話がダメだなんて思っている人は一人もいません。でも、指を動かし、身体のバランスをとりながら作品を作っていく体験も大事にしています。要は偏っていないということですね。
☆不思議なことは、受験勉強とはまったく関係ないのに、お受験や中学受験を選択する場合にも、自然と役立っていることですね。その秘密はなんなのかは、ニワカニはわかりません。ただ言えることは、意外にも9歳ぐらいまでの子どもたちの生きざまが、大人になっても脈々と続いているということらしいのです。だから、9歳までにチェンジする(9歳・10歳の壁を乗り越えることですね)ことを、アート・クラスを選択した保護者は―意識しているかしないかは別として―、共有しているようですね。
☆言葉と絵のクラスは、月に一度ということもあって、私もときどきサポートのチャンスをもらいます。そんなわけで、この不思議なアート空間で、保護者の話を聞く機会をもらっているのですが、子どもの世界を見守る親の思いの深さに感動します。どうもマスコミを通して見る子ども観や家族観とは違うところが多いですね。このアート・クラスには、マスコミが映し出す世相に惑わされないようにクリティカル・シンキングができる保護者が集まっているということなのかもしれませんが、イベントに集まってくる数を考えると、そのような保護者や家族は決して少なくないように思います。
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