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私学の経済ポジショニング[03]端緒を探る③私学経営研修会に参加して

2008年6月5日から2日間、東京で私学経営研修会が開催された。主催は財団法人日本私学教育研究所。後援は東京都、東京都私学財団、東京私立中学高等学校協会、日本私立中学高等学校連合会。

☆つまり、日本全国の私立学校の経営陣が一堂に会して、「私学の未来」と「私学力」について議論し、マニフェストを確認する集まりだったのだと思う。200名ほど参加していたのではないだろか。

☆縁あって、一日目の午後の部の「パネル・ディスカッション」のパネリストとして参加させていただいた。果たして私ごときが私学の未来や私学力について議論を広げ、深めるトリガーに成り得たかどうかは自信はないが、先生方の議論の様子や先生方との対話を通して、私立学校の奥深さを感じたので、いつものようにつれづれなるままに感想を書いてみたい。

☆経営研修会であるから当然ではあるが、補助金の問題、学費の課題、寄付の課題をどうするのかという現実的な問題と教育の理念をどのように結びつけるのか、教育の理念と現場の教育活動とをどのように結びつけるのかという現実と理想の話題、つまり経営の倫理と教育の論理の両輪が明確に前面にでていたのには迫力を感じた。

☆学校選択のために保護者が参加する学校説明会では、教育理念と教育活動が前面に出て、経営の倫理の部分はほとんど見えないため、私学力の全貌が実は見えない。全貌が見えないのに、さらに偏差値や大学進学実績という極めて局所的な指標で学校を選択しがちなのは、はたして大丈夫だろうかと、いつもは感じない学校選択の方法論のフラジャイルな弱みに改めて気付いてハッとした。

☆私学の経営の論理は、外から見ていてもわかりやすい。学費と助成金で学校の経営のそのほとんどは成り立っているから、要するに生徒数が定員を満たしているかどうかがわかればよいのである。しかし、私学の経営の倫理はほとんど見えないだろう。というのも助成金とどのように折り合いをつけるかという問題が横たわっているからである。

☆助成金を獲得しながらも、文科省の教育行政の支配に屈しないという私学の魂をどう堅持するかということなのである。この交渉において、いかに私学の協会関係者が手腕を発揮しているかを目の当たりにすると、私学力のエネルギーが実に元気がよいこととこのエネルギーを押さえつける文科省の教育行政側の方法論がいかにエグイかもわかってくる。

☆いずれにしても、この交渉力は実にマキャベリズムで、私学人はいかにプラグマテイストでなければやっていけないかと実感したのである。

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