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私学の経済ポジショニング[04]端緒を探る⑤都内の男子校の活動[02]

☆先日(2008年6月7日)、新宿で行われた「東京私立男子中学校フェア2008in新宿」では、このフェアに参加した23校の生徒とその保護者10,000人を対象にした意識調査が公表された。

☆「君は、在校生として男子校にそれぞれどのようなイメージを持っていますか?」という質問には、

「明るい」83.8%

「楽しい」82.0%

「先生や先輩が優しい」56.7%

「自由な雰囲気」49.1%

「勉強が楽しい」41.3%

☆芝の助川校長は、いつも楽しくなければ学校ではないと語っているが、なるほどその通りの結果になっている。男子校は明るく楽しいのである。ジャニーズ系の「イケメン・パラダイス」や「ごくせん」のようなドラマのノリなのであろうか。

☆保護者は、男子校の教育で身につけさせるべき資質・能力に関しては、

「自主性・積極性」94.9%

「責任感・使命感」94.9%

「決断力・実行力」93.1%

「統率力」93.1%

「協調性」90.5%

「忍耐力」90.1%

「やさしさ・思いやり」87.2%

「礼儀・作法」86.9%

☆となっているので、意外と学園ドラマのテーマには即している。しかし、決定的に違うのは、保護者の選択理由の一番は何といっても「学習指導」(64.5%)だし、次は「大学進学」(56.2%)であり、愛と友情だけではなく、勉強もきっちりということ。

☆当り前のような感覚だと思うかもしれないが、実は本田由紀さんら社会学者が調べると、世の保護者の教育方針は、「きっちり型」か「のびのび型」のだいたいどちらかに分かれるのであり、その両方を統合するという「わくわく型」は貴重な考え方なのである。そもそも私立中学に通っているのは、同学年人口の7%である。首都圏に限ると3%。「わくわく型」は希少価値なのである。

☆助川校長の語る「楽しくなければ」というのは、言いかえれば「リベラルアーツ的な雰囲気がなければ」という意味なのである。学びと遊びの統合は、多くの家庭では失敗する。

☆勉強しなさいと母親は言う。子どもは一生懸命勉強する。すると、母親はそんなに勉強ばかりしていないで、外で遊びなさいと言う。すると、子どもは一生懸命遊ぶのだ。すると、そんなに遊んでばかりいてはダメ!と叱られる。母子ともにダブルバインドのコミュニケーションから抜けられない。抜けられないといろいろな事件が起こる。

☆互いに愛し合っているのに、ダブルバインドのコミュニケーションで苦しんでしまう。この情況を抜け出るクオリティ・コミュニケーションの環境が、私立の男子校にはある。意識調査からそんなことまで見え隠れする。

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