私学の経済ポジショニング[07]端緒を探る⑧都内の男子校の活動[05]
☆「私学の経済ポジショニング[06]端緒を探る⑦都内の男子校の活動[04] 」のつづき。ガイドブックで生徒が自分の学校について語っている文章を語彙分析してみた。それをグラフ化したものを掲載する。あくまでこれは極端にイメージ化した図にすぎず、数値化したものではない。
☆文章を読みながら、語彙や表現を4つの項目に振り分けて作成した。4つの項目とは
CC)Creative Communication(創造的コミュニケーション)
IC)Interactive Communication(双方向的コミュニケーション)
TC)Torelance Communication(寛容的コミュニケーション)
OC)Oppresive Communication(抑圧的コミュニケーション)
☆コミュニケーションの質はこの4つの項目の総体で決まる。どれか一つの項目だけのコミュニケーションスタイルしかとらない人もいるが、それは対話をしていると不自然な感じや不愉快な気持ちをその場に生みだす。非日常的な危険な状況が迫っているときは、逆にたとえばOCだけが起動するというほうが自然である。
☆コミュニケーションの4つのスタイルをその場の情況に応じて変幻自在に変えられる人がコミュニケーションの達人なのである。
☆このガイドブックという場で、自分の学校について何か伝えようとする場合、読み手を意識する必要がある。読み手が何を感じるか。読み手が何を期待しているか。読み手は何に気づいていないかなど想定するに違いない。そして、わずかな字数にまとめるのだから、何を書かないかということも。
☆最も多いコミュニケーションのスタイルは冒険型である。規制やルールや恐怖に打ち勝つ勇気と友愛と創造のコミュニケーションスタイル。次に多かったのは、完璧なスタイル。改革者型である。すべての項目をバランスよく使いきっているのである。
☆どの型が成功しているかというと、すべてうまく表現されている。ここで注目すべきは、支配型や趣味型がないということである。これは読み手に共感を生むことがない。だから、このスタイルで文章を書く、つまりコミュニケーションをとると広く感銘を与えることは難しい。
☆そしてネガティブな意味での「オタク」は趣味型に相当するだろう。しかし、アキバ系の文化創出的ポジティブな「オタク」(それを「オタク」と表するべきかどうかは議論の余地はあるが、両者の違いを省みず、両方ともネガティブにとらえる昨今のマスコミの論調があるがゆえ、あえて・・・)はCCもOCも高い。ただこれは葛藤型で極めてストイックであるから、ほかの項目も高いほうがハッピーではあるだろう。
☆順応型や安定型も若干あるが、世の母親は、ある意味このスタイルが一番安心するかもしれない。いわゆる良い子タイプであるから。
☆さて、多くの生徒の中からたった1人の生徒のコミュニケーションスタイルで何がわかるのかといわれるであろうが、ガイドブックに掲載するにあたり、その学校の生徒像に近いあるいはこういう生徒のような言動をとって欲しいというロールモデルであるという仮説は立てられるかもしれない。誰でもよいから掲載するという選択判断はしていないはずだから、仮説という程度でなら成り立つであろう。
☆ともあれ、それぞれの学校の特徴が端的に表れているページであり、おもしろかった。
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