世界を変える学校[23]八雲学園④
☆世界を変える学校[14] 八雲学園③のつづきです。八雲学園のクオリティ・スコア(教育の質)はたいへん高いのですが、その理由の一つは、八雲学園の教師のコミュニケーションの質が高いということです。クオリティ・スコアを算出する12の項目の中に、「教師の創造的コミュニケーション能力」というクオリティ・コミュニケーション度を示す指標があります。
☆教師と生徒との間で行われているコミュニケーションは、外から見ているだけではよくわかりません。教師が、きめ細かく生徒に話しかけていても、一方通行的に話していたり、一見双方向的に話していても、好奇心やワクワク感が生まれてこないような事務的なコミュニケーションで終わっていたりしている場合があります。
☆雰囲気の悪いコミュニケーションは、すぐにわかります。教師の言動が上からモノを言うような言い方だったり、暴言だったり、品性のない言葉を放っていたりと抑圧的なコミュニケーション(OC)は誰でもわかります。それなのに平気でそのような言動をしている教師がたくさんいるような学校は雰囲気は悪いし、論外ですね。
☆しかし、抑圧的でないけれど、どこかおかしいというコミュニケーションもあります。この分析はなかなか難しいのですが、次の3つのタイプのコミュニケーションがバランスよく行われているかどうかチェックすると比較的見えてきます。
①創造型コミュニケーション(CC)
②双方向型コミュニケーション(IC)
③寛容型コミュニケーション(TC)
☆どんなによい考え方でも議論ができないような雰囲気では困ります。まずはICがなければなりませんが、そのためには相手の考え方や感じ方を受容し、尊重する寛容さ(TC)を示すことも重要です。
☆そして議論は、新たな考えを生みだす創造的な対話に発展しなければ(CC)、楽しくないでしょう。
☆では、以上のような4つのコミュニケーションタイプをどうやって分析するのか?それは学校説明会に参加して、4つのタイプを、それぞれ5段階で評価してみればよいのです。どのタイプが高ければよいのかということではなく、バランスのよさが大事ですね。ただし、低いスコアでバランスが良い場合は考えものです。それはコミュニケーションのパワーが弱いことを示すからです。どれも2以下だと、教育に対するエネルギーや人間力が低いことを示唆している場合が多いでしょう。
☆今まで多くの生徒や大人のクオリティ・コミュニケーション度をこのCITOで分析してきましたが、理想的には、CC、IC、TCのスコアは3以上、OCは3未満というのが雰囲気のよいコミュニケーションを形成しています。OCが限りなく0に近いというのは、それはそれでアナーキーになり危険です。
☆さて、八雲学園の話に戻りましょう。同学園の学校説明会に行くと、オープンで、創意工夫が凝らされていて、程よいルールが染みわたっていて、おもてなしの構えが、とても良い雰囲気を作っています。これだけで、クオリティ・コミュニケーション度は高いわけですが、国語の先生方が一丸となって生徒たちの文章を編集している「まつぼっくり」に投稿されている10人の先生方のエッセイを語彙分析することで、もっとはっきりコミュニケーションのクオリティが顕れてきます。結果をグラフに表してみました。
☆子どもたちの考え方や世界観が豊かになっていくには、オープン・マインド(IC)で疑問をぶつけられる(TC)コミュニケーション環境が重要ですが、さらにポイントになるのは、好奇心が触発されるコミュニケーション(CC)であるかということです。もちろん倫理的ルール(OC)は守らねばなりません。こうした観点からグラフを見ると、八雲学園のことば力を育成する先生方のクオリティ・コミュニケーションは大変良好であるということになります。さすがですね。
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