世界を変える学校[27]共立女子の知②
☆先週土曜日(2008年6月7日)開催された共立女子のオープン・キャンパス型学校説明会で配布された資料の中に、「沈丁花」というPTA中学広報誌がありました。
☆巻頭に1年生(の保護者だと思います)の詩が載っていましたが、共立女子の生徒像があまりに真っすぐなのに、改めて驚きました。「自分探しの旅/地図はないけれど/迷わず歩いていこう/自分自身の道」「あなたの心には/何が描かれているの/それは 希望」「無限の可能性のある/夢を追いかけていこう」などのフレーズに、今の否定的な若者論とは全く対照的な生徒像があり、それゆえ共立女子を選んだし、選んで良かったという思いがこめられています。
☆今時の若者は、大きな物語を失い、自分の好きなことにしか関心がなく、関係性は、葛藤をどのように乗り越えていくかではなく、ネット上のデータベースを選択して組み替えたモノをシェアできる関係で生きていると評論されがちです。
☆互いの本音を言い合わず、ネット環境上に浮上している情報を加工してキャラをつくり、そのキャラどうしで関係を結ぶので、互いに傷つけあうことがないというのですね。大きな物語が喪失したのだから、本音すらなくなっている恐れもあると・・・。このような若者バッシング論の背景には、ネット犯罪などが若者に広がっているかのように見える表面的な現象があるのでしょう。
☆しかし、共立女子の生徒は、大きな物語を失っていないし、共立の大事にしている「ともだち」「友愛」「学びの共同体」などのフレーズは、表層的なものではありません。オープン・キャンパスの最中に出会った内田先生に、そのことを聞いてみたところ「たしかに、若者バッシングが生まれるような情況は、世の中にありますね。放っておくと、そうなる社会的な構造の問題があります。しかし、共立女子は、中学の間に、互いに葛藤が生まれ、それを乗り越える機会がたくさんあります。たくさんの行事や多様な部活によって、本物の絆を形成する準備期間が中学時代ですね。」と
☆沈丁花の中で、中3の母親もこう述べています。
「共立が今、まさに変わりつつあることの代表は、中高一貫化。伝統におもねることなく、共立の心を大切にしながら前を見据えて進む、そんな流れの中に娘を学ばせることができ、うれしく思います。」
☆大きな物語や大切な価値意識を失っては困るけれど、それにおもねる必要はない。ただし、それは大切にして、自分の道を切り拓いていってねという母親の思いと期待が自分の子供と共立女子の両方にかけられています。学校選びは、人間とは何かを考えることでもあるのですね。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 村田沙耶香さんのNHKインタビュー 母校二松學舍柏で(2017.02.11)
- 「斉藤桂太」麻布のもう一つの知(2015.11.28)
- 2012年Nコン 豊島岡女子 中高両方の部で金賞 関東甲信越ブロックで(2012.10.01)
- 「柴崎俊子祝賀会」 in 中村新館Lady もう一つの私学の系譜(2012.07.24)
- 勇気 「子どものための少年詩集2011」から(2011.11.24)
最近のコメント