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世界を変える学校[29]共立女子の知④

☆共立女子のPTA中学広報誌の「沈丁花(2008.3.15)」には、共立女子のハビトゥス(文化資本の再生産メカニズム)がくっきりと表れています。その象徴が巻頭詩「旅立ち」なわけ(「共立女子の知①」参照)ですが、中学3年生の卒業を迎えた教師に生徒がインタビューしている座談会の記事もまた、具体的というか、ざっくばらんに編集されていて、驚かされます。

☆卒業生に捧げる座談会ですから、ネガティブなことはほとんど書かれていないかのようですが、言うべきところはきちんと言っている先生もいれば、その発言を逆に見方を変えて説明する先生もいるんですね。ベクトルがバラバラということではありません。ベクトルは同じだけれど、そのベクトルが進むには、批判的な議論があってこそという感じの座談会です。

☆たとえば、学校生活の指導で、一番手こずったことは、どのようなことですかという質問に対し、

「私語が多くて、今だに注意しています」「そうですね。彼女たちにとっては『おしゃべり=呼吸』といった、感じですから・・・」

☆という対話があります。何気ない会話ですが、言葉の責任の話をしているのでしょう。ベクトルは同じです。言葉の重みを自覚して話そうということですね。これは校訓の「誠実」や「友愛」にかかわりますが、「おしゃべり」を呼吸ととらえ返すところが機知に富んでいますね。

☆呼吸は止められない大事な身体の作用です。ただし普段は意識をしていないで済みます。しかし何かに臨む時、呼吸を整えます。言葉も同じだよといういことですね。こういう先生方のやりとりを、生徒たちは「巣立つ生徒たちを見守ってくださった」と表現しています。

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