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09年中学入試に向けて[13]大学の新設附属・係属校の意味するコト

☆読売ウイークリー(2008.7.27号)で、特集記事「早稲田の逆襲 慶応を抜き返せ!!」が掲載されていました。まあまあ思いは伝わってきましたが、相変わらず東京大学を頂点とする知の鎖国内でのお話でしたね。

☆どうせお金をかけるなら、ロンドンやベルリン、ストラスブールなどあちこちに寮を賃貸し、そこから海外の大学に研修研究でもさせればよいのではないでしょうか。ヨーロッパ大陸なら、教会や修道院が廃墟になっているところがあるから、安く借りられるのでは?

☆海外の大学の単位を取ろうとか、海外の大学の卒業を目的とするから話が難しくなるんですね。あくまでリゾート気分でひたすら洋書を読み、ひたすらヨーロッパ諸国を歩き回り、もちろん外国語を駆使しながら、それで論文提出をして、自分の大学の単位取得が可能なシステムを作ればよいのではないでしょうか。

☆ポスドク問題解決のために、海外の分校の研究者として雇い、日本の大学と同じように学生が研究できるようにしておく。最終的なチェックは、インターネットでサイバー上でやればよい。学びの環境が変わるだけで、ずいぶん大学の雰囲気は変わるはずです。

☆学生の費用は?それは現地の情報を収集し、帰国後出版。販売促進のためにセミナーをやればよい。それに、教授の本に事例ケースとして掲載すれば、授業に使うテキストとして売れるのではないでしょうか。それにたまには現地ガイドをやれば?日本の企業のアルバイトなら大丈夫では?

☆さて、そんな大胆な―でも小沢征爾さんが海外に渡ったときに比べれば、過保護な―システムも学生がやる気がなければ、継続しないですね。たんにやる気があるだけでもだめですね。世界の問題や芸術的使命に燃えていなくてはなりません。

☆これは、見識、教養が必要で、幼児期からリベラルアーツな雰囲気の中で育つ必要があります。受験勉強で、見識や教養なんて関係ないでやってきて、大学になってからやろうと思ってもなかなか。最近は幼児期から受験勉強以上の「脳」力である地アタマを鍛えるには、やはり早い方がよいということになっていますね。もちろん、早期英才教育とは全く違います。

☆7歳まではじっくり仲間づくりをしながら多くの体験をする。8歳9歳では、その体験を経験値にジャンプできるように横断知を鍛えます。熟練と尊重の育成期です。10歳からは多くの経験値を統合する時期です。それには論理と批判を学ぶ必要がありますね。こうして多重知能が中学段階で養われれば、高校からは自分の社会への使命である倫理観をベースにグローバルなキャリアデザインをするでしょう。

☆このような意欲がベースにあって、大学に行けば、海外というフィールドで学びたいというモチベーションが内燃し続けます。

☆早稲田大学は、佐賀に、大阪に、そして東京に係属校や附属校を開校する予定です。今年150周年を迎えた慶応大学も、記念事業の一環として、横浜市青葉区に小中一貫校を新設する予定です。中央大学も、東京と神奈川に附属・係属校を開設予定。青山学院大学も、相模原キャンパスに附属中高一貫校開設を見据えていると言われています。これらは2009年から2013年ぐらいまでに完了するでしょう。

☆まだ中等教育段階の新設が多いのですが、早稲田実業や新設の慶応の小中一貫校のように、今後小学校から附属を開設するところが増えるのは火を見るより明らかです。

☆そして、2013年入試から聖心女学院は中学の募集を停止しますが、多くのカトリックの学校はこのような動きが可能です。つまり、完全中高一貫校入試だけではなく、完全小中高一貫校入試が増えてくるということですね。

☆品川区のように、公立でも小中一貫校までは増えてくるでしょう。そうなると、学習指導要領は変わらざるを得ないですね。今のような断片学習では、子どもたちの発達成長段階とのマッチングがうまくいかないからです。

☆OECDのCERIでは、総括的アセスメント(今までのスコアによる成績表を思い浮かべればよいでしょう)を包括する形成的アセスメントの研究が進んでいます。現状の学習指導要領が変わらなければ、形成的アセスメントがうまく適合しないので、またまた日本の教育改革は知の鎖国状態に陥ります。

*総括的アセスメントと形成的アセスメントは対比される場合が多いのですが、前者は後者に包摂されるというのが、CERIの考え方ですね。ここが新しいところかもしれません。

☆結局、国や政府には任せておけないので、私立学校が動くしかないわけですね。もちろん経営の論理で動いてもいますが、利益収奪市場の原理ではなく、倫理的市場の原理で動いていると考えたいものです・・・。

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