The 授業リンク@考[03]教育の壁をいかにして超えるか ②
☆あらゆる分野でコミュニケーションが重要だと叫ばれています。ポスドクの問題も、専門知識はあるけれど、コミュニケーション能力がないよねと言われますよね。エンジニアの問題もクライアントのニーズを汲み取るコミュニケーションが必要だよねと言われています。教師学主催のセミナーでも「教育とコミュニケーション」が行われますね。授業の現場でも、面談でも、コミュニケーションが大事だと言われています。営業マンも顧客満足のためのコミュニケーションを学べと言われています。
☆そして一生懸命にコミュニケーションの方法論やメソッドの研修が行われています。その量は、驚くほど多いのです。しかしながら、コミュニケーションとは何かという研修はほとんど行われません。そりゃ思想になるからとか、難しい抽象的な話になるからとか、お金にならないからとか・・・。
☆こういうことを平気で言えるマネージャーや教授や教師がいる組織では、必ずパワハラ、イジメ、差別・・・などが起きています。コミュニケーションを大事にしているのに、スタッフや生徒のモチベーションは下がり、イジメが伝播し、雰囲気が悪くなります。
☆このような組織で行われているコミュニケーションのレベルといえば、コミュニケーションを双方向にとれるようになれば、それでよい雰囲気がうまれるというレベルですね。配慮や気遣いや思いやりがあればコミュニケーションはうまくいくというレベルですね。ニュートラルでフラットであればコミュニケーションはうまくいくというレベルですね。EQを大事にすればコミュニケーションはうまくいくというレベルですね。
☆しかし、このレベルの組織の問題点は、マネージャーや教師がmentorになっているつもりでいても、tormentorになっている場合が多いということです。このことに気づくには、思想もいるし、難しい抽象的な話も必要なのです。しかも、そのことについて組織メンバー全員で話し合う環境が必要です。
☆J.S.ブルーナーは科学の最前線の考え方は、幼児でもわかるようにカリキュラムを作らねばならないと言っています。これがコミュニケーションの妙技でしょう。思想や難しい抽象的な話を聞いているだけでわかろうとする、でも結局わからないから忌み嫌う。最悪のコミュニケーションですね。
☆コミュニケーションとは互いに問いかけることです。アウトプットとは、解答を言うことではないんですね。自問自答の両方の共有がコミュニケーションです。質問する側―回答する側という関係は、表面的には双方向だけれど、そんな偏向的コミュニケーションが、よい雰囲気を生むはずがありません。教える側―教わる側という関係よりは一歩前進というレベルなだけです。
☆そんなことを考えるトリガーになったのが、池末和幸先生の 「カードゲームを用いた国際理解」というワークショップでした。
*池末先生の講演は、共立女子中学で開催された第2回「Ths授業リンク」の会(2008年7月3日)で行われました。
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