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09年中学入試に向けて[16]聖園女学院の教育の質深まる

☆6月のオープンスクール、7月のミニ説明会で、聖園女学院は、さらに教育の質の深まっていることを示しました。毎年同学院では、在校生、卒業生、保護者の声を公開しています。毎年大学進学実績の成果を上げているわけですが、それは教育の質による成果の一つにすぎません。

☆最も重要な教育の成果は、生徒一人ひとりの存在の響きが内面で奏でられ、聖園女学院全体の響きとして共振している日々の姿そのものです。その日々の在校生の存在の響きを聴くことができるのは、学院の先生方が、日々の生徒の声をポートフォリオとしてきちんと集積し整理しているからです。

☆そのような教師が生徒の細かい様子をデータとして集積する姿勢こそ、得点や偏差値を超えた形成的評価をしている構えなのです。形成的評価は、常に生徒を見守り、頻繁に生徒と対話する中でしか生まれません。古くて新しい、世界中で見直されている評価方法です。形成的評価とは、生徒の力を見切るのではなく、生徒自身も気づいていない自己の才能を共に見出し、伸ばしていく評価なのですね。

☆当たり前のようだけれど、多くの学校ではまだまだ従来型の評価方法が一般的です。聖園女学院の教育の質が良質なのは、他校と違い形成的評価が日常化しているところです。そして、今回の説明会資料で、とうとう進路指導と教科の連動プログラムを、具体的に示す資料を作り上げました。

昨年も進路指導部長の平野先生の見事なプレゼンテーションについて触れましたが、今回は先生ご自身がもっと具体的に見える化しています。生徒が自分の生きがいや将来をいかに生きるかをどのように考えるようになるのか、自分で気づいたその将来をどのように実現化するのか、そのプログラムについて具体的に証明する資料を編集されていました。

☆「ガイダンスのやり方→生徒の反応としてのノートの記述→それに基づいた授業のオリジナルプリント→生徒の授業の実際のノートのサンプル→授業後のテストとテストの評価の具体例→生徒の問題意識をレポートに編集→さらに生徒の進路を深める探究→生徒による進学のための学習戦略→生徒の生涯学習プラン→・・・」というように教科と人生の学びのポートフォリオの一例が公開されました。

☆日々の生徒の成果を、これほど丁寧に表現できる学校というのは、意外とないのですね。結局毎学期のテストのスコアとしての結果の集積があるだけです。偏差値や得点などの推移と合格した大学の対応のデータで終わるというのがほとんどでしょう。

☆しかし、グローバルな教育の動きとしては、このような評価以外の研究も進んでいます。OECD/CERI(教育研究革新センター)では、このような従来型の評価をサマティブアセスメント(総括的評価)とし、これだけではクリエイティブかつ倫理的な精神をもった未来の人間を輩出することができない。そのためには、フォーマティブアセスメント(形成的評価)の方法とその判断基準を探究することが必要だという認識に立っています。この形成的評価は決して新しい評価ではないにもかかわらず、十分に実践されてきたわけではなくいのです。21世紀型社会に対応する教育システムに必要だという再評価がされていると捉えるとよいのでしょう。

☆聖園女学院が目指している社会はキリスト教主義的社会ですから、創立以来はじめから20世紀型社会には批判的精神で臨んでいました。理想に向かって生徒を育成してきたので、はじめから形成的評価を当然のごとく実践してきたのでしょう。社会が聖園女学院の教育の質にようやく追いついてきたと捉えることができるのではないでしょうか。

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