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09年中学入試に向けて[22]恵泉女学園を照らすミチのランターン

☆今春、安積前校長は恵泉を去られ、山形の基督教独立学園高等学校の校長に就任されたと風の便りで知りました。安積校長とは、2度ほどお目にかかっています。といっても、姿を目にしただけで、安積校長は私のことを知らないでしょう。

☆一度目は私がNTS教育研究所の仲間といっしょに企画した第一回≪未来を創る学校≫セミナーでお会いしました。今振り返れば、このセミナーは、多くの≪私学の系譜≫の重鎮の先生方に講演やパネラーをお願いしていましたね。その中で盟友岡部憲治氏にも、グローバルな視野で学校の未来予測をしてもらいました。

☆多角的なデータをベースに、日本の教育は変わらなければならないというか、変わらざるを得ない、国際政治経済そしてイノベーションの力学が働いているという挑発的な講演でしたが、安積校長は、そこに若き教育評論家岡部氏の表出の遠慮に、すぐにも気づいたのです。セミナー終了後も、ずいぶん岡部氏と議論していました。

☆私はセミナー全体のプロデュースをする側だったので、直接議論に加わることができず残念でした。とにかく仲間が、心配だから様子を見に行ってくれないかと呼びに来たので、近くまで行ったのですが、すぐに岡部氏に対する愛情の議論であると直感しました。岡部氏のセミナーはいわゆる出来るヤツの表現の集積です。そこに感情の表出はありません。でももちろん熱い人類愛を有しています。そこが基準になって表現は編集されるのですから。

☆安積校長はそのことは百も承知で、だからこそこういう未来を見通す若者の気持ちを表出してほしかったのでしょう。愛の気持ちを無意識の中に閉じ込めるのはもったいないと。岡部氏もそのことは十分わかっていました。そのうえで、セミナーにおいては、表出は自らがするのではなく、あくまで自らの表現が、参加者の表出を喚起するというロールプレイに徹したのだということを「表出」しました^^)。すると安積校長は、期待してるよという眼差しを投じて、去りました。

☆二度目は、京北学園の川合正校長が企画した心理学のセミナーで講演者に鋭い質問をされている姿をお見かけしました。東京私立中高協会主催の私学研修会の分科会の一つです。そこで千葉大の若き心理学の教授が、フロイトモデルを持ち出して、低学年から無意識を抑圧する超自我の育成の重要性を訴えました。安積校長にとって、超自我の超自我は、イエスキリストですから、だいぶ違和感を抱いたようです。キリスト教的には、この超自我は、裁くのではなく、救うのです。抑圧するのではなく、開放するのです。知識を詰め込み自動化するのではなく、創造的タレントを想起するわけです。

☆若き心理学者は、おそらくキリスト教を知らなかったのでしょう。あくまでフロイトの理屈に沿って何度も説明していました。安積校長は、感情の表出を抑圧する教育システムは許せなかったのでしょうね。

☆その安積校長が、基督教独立学園に転任されたと聞いて、一貫したそして純粋な生き様に感動しました。

☆さて、本題の恵泉女学園の話ですが、安積校長が去っても、学園全体の魂は変わりません。創設者河井道の「わたしのランターン」は今も光を放っています。学校は人が創るものですから、人が変われば、組織も変わります。でも変わらない組織もありますね。組織は機械ではありません。人は自分の精神よりも大きな魂を受け入れることができます。

☆かつて、私は恵泉女学園についてエッセイを書いたことがありますが、今もそれ以上書くことはできません。ただし、河井道がかかわった戦後教育基本法が、2006年に改正されました。世の中が河井道の精神を忘れようとしている危うい時代です。河井道について知らねばなりません。少し関連書籍を読んでみる必要性を感じている今日この頃です。

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