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09年中学入試に向けて[26]NTS教育研究所の興味深い講演会

NTS教育研究所企画の講演会「クリエイティブ・スクールを探せ!」が、今月13日(土)立教女学院で開催されるようです参加する学校が実に興味深いですね。学習院女子、立教女学院、国学院久我山、早稲田中の4校です。

☆この4校にはある重要な共通点があります。89年のベルリンの壁が崩壊後、日本の若者(ゆとり世代なんて言われていますね)は、自分をあらゆる組織から自立させるアイデンティティ、あるいは大きな物語、存在の響きといった普遍性などなどを失っていると言われています。

☆自分の興味と関心のある物や者との関係性は大事にするのですが、その関係性は、小さな組織に帰属し、村落共同化し、そこから外に出て共生できる原理が喪失してしまっているというわけです。

☆ところが、今回の講演会に参加する4校は、理念は違うものの、村落共同体的タコツボ組織から自立できる精神構造を養える教育環境を有しています。学習院女子と国学院久我山は、天皇あるいは神道的な世界性をクライテリア(規準)として、小さな村意識からは自立できるハビトゥス(文化再生産文脈)を持っています。立教女学院の場合は、キリスト教ですね。早稲田中は、実は親に冷たい学校なんて自ら語っているぐらい、家庭からの自立が徹底されています。

☆共同体の中でチームづくりをするのと、組織横断的協働的な自立したメンバーがチームづくりをするのとでは、似て非なるパフォーマンスになります。21世紀の生活は、もちろん後者の価値観に支えられることになります。

☆それにしても、国学院久我山は個人的にも興味があります。東大の数学の問題を女子部の生徒は中学段階で解くプログラムがあるらしいのです。高校の数学を先取りするのではなく、中学の数学の範囲内で。東大の問題を解くのが目的ではなく、そのレベルの問題を中学で解くとなると、自ら思考しなければならない必然的な状況が生まれるわけでしょう。その状況はギリシャ哲学以来ずっと数学の世界で行われてきた幾何学的思考です。

☆学習指導要領については、筆者自身は批判的な側面もあるけれど、中学までの数学というのは、実は19世紀までの数学の成果、たとえばデカルト的思考のレベルであり、高校数学は19世紀末以降の現代数学の成果が反映していて、評価すべき点もあります。ただ、そういう観点で現場で数学を扱うことはほとんどないでしょう。

☆ところが、国学院久我山には、そういった数学の本質的問いかけができる教師がいるのですね。そしてその数学的思考の世界こそ、村落共同体から離脱できる原理に通じます。もっとも、受験生には、こういう話は余計でした。とにかく質の高い教育を実践している学校ばかり参加しています。ふだん聞けない話も、受験生目線で聞けるでしょう。立教女学院の校舎や庭園も心地よい環境です。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

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