09年中学入試に向けて[30]星野学園 新設「理系選抜クラス」の意味
☆来春、星野学園の中学入試において、「理数選抜クラス」のための試験が新設されます。1/10に1回理数選抜(定員25名)、1/14に2回理数選抜(定員15名)を新設するということです。これ以外に、一般入試が3回あるわけですが、合わせて5回の入試の試験科目はすべて4科目になるそうです。
☆110年以上の伝統校で、リベラルアーツ、全人教育というキーワードも出てくる学校なので、理数選抜クラスや4教科入試は、サイエンス的なものの見方やサイエンスの限界の向こうにある「世界」の存在に気付かせる≪私学の系譜≫に立ち戻る動きが背景にあるのかもしれません。
☆生徒たちが自分の存在の根拠を、優勝劣敗的な高ストレス社会で承認される成果主義的な組織や社会の規範のみにおくことによって、自然と精神と社会の生態系的な世界システムに興味と関心を持たなくなる人間になるのを回避するのがリベラルアーツだったり全人教育だったりするわけです。
☆この教育の基礎基本は、論理的で批判的かつ創造的な考え方ができるサイエンスとしての立ち位置がポイントです。そしてそれには多量の知識のシンプルな活用に熟練していることが求められます。
☆ただし、現在の多くの受験生や保護者は、基本的に≪官学の系譜≫に置かれてきたわけですから、そこまでの見識を持つに到ってません。そこで、まずは入学してもらって、そこから互いに気づいていこうという戦略なのではないでしょうか。それゆえ「理系選抜クラス(東大受験)」というアイロニカルな広告表現を打っているのではないでしょうか。
☆私立学校の表現の理解は、必ずしもストレートにはいきませんね・・・。ストレートに表現できる条件を塾がサポートできるようになると≪受験マーケット≫=≪官学の系譜≫から≪私学の系譜≫のマーケットにシフトするでしょう。期待しています。
*ただし、≪官学の系譜≫のマーケットは市場の倫理は働きません。そこはお上の量的配分で決まりますから。序列の競争という悲しき市場です。≪私学の系譜≫は教育の質の競争という倫理的市場形成がコンセプトです。現実と理想のギャップがあるわけです。だから、私立学校の広報活動はストレートには行かないのです。大きな目標のための戦略を現実化するために、アイロニカルな戦術もやむを得ないわけです。
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