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09年中学入試に向けて[34]筑駒・開成・麻布・駒東・栄光・聖光の同一招集日の意味

☆来春の中学入試が終わると、入学式の前にどの学校も、入学の準備の説明会をやります。もちろん、合格者のうちどのくらい入学してくれるのかそれを確認し、併願他校に入学しないように囲い込む目的もあります。ですから招集日の設定は、戦術的に行わねばならないわけですね。この見事な戦術を実行しているのが、筑駒・開成・麻布・駒東・栄光・聖光です。09年は、この6校の招集日は、2月11日で、同日程なのです。

☆2月1日が、開成、麻布、駒東の入試日。2月2日が栄光、聖光の入試日。2月3日は、筑駒。これらの学校の受験生は、当然相互に併願するわけですが、入学する学校は一校です。となれば、蓋を開けてみたら、入学者が多かったり少なかったりするわけです。もちろん多くなっては困るので、どうしても少なめになります。その分を電話で繰り上げ合格しなければならないのです。

☆もしも3月に入ってから、入学する生徒の数が少ないということが判明し、繰り上げ合格をしたらどうなるでしょう。たとえば、筑駒がA君を繰り上げ合格した。A君はすでに開成に入学手続きを済ませていた。しかし、それを捨てでも筑駒に行った方がよいと比較考慮熟考してしまった。開成当局は、あてにしていた300人入学者の数が減ってしまったのだから、B君を繰り上げ合格することにした。B君は巣鴨に入学手続きをしていた。しかし、将来を考えると開成の方に進学することを決意した。

☆すると巣鴨もまた、C君を繰り上げ合格することに決めた。C君は本郷の入学手続きを済ませていた。それで、本郷はD君の繰り上げ合格を決めた。・・・・・・・・・・と永遠続くわけです。3月になって、入学する学校の変更がドーッと起こることを想像すると恐ろしいですね。

☆市場の原理が働くとこうなってしまいます。女子校ではそれがおこらない。この男子校のレベルの学校は、同一日程で試験が行われるからです。筑駒のような存在もありませんから。女子の優秀生の寡占化が行われているわけです。

☆もちろん、男子も寡占が多少分散されるだけで、一部の学校に優秀生が集中する現状は変わりありません。しかし、市場の原理が働くと、選択判断の不確実性がありますから、優秀な生徒が、一般には思いもよらない学校に進学する率が高くなるわけです。

☆ですから、この6校の同日程招集日は、市場の原理を修正する見えざる規制ですね。いや見えざる手という見方もあるかもしれません。つまり市場の原理は、悪貨は良貨を駆逐するという一面もありますから、市場の倫理的な自浄システムとも考えられます。

☆しかし、いずれにしても、この6校を頂点とする私学マーケットを持続可能にしようという面では知の覇権を保守しようというイデオロギーが作動している可能性があります。1つひとつの学校は、≪私学の系譜≫に位置しているけれど、受験市場は≪私学の系譜≫にはない。どのような組織も、保守・偏向・リスク隠ぺい・無気力という市場を活性化する動きをとめる阻害要因を含んでいます。

☆このジレンマをぶち破るのは、これら6校にだけ責任を帰するのではなく、受験生の保護者自身が選択のスコープを広げることと、高い教育の質を表現できる他の男子校の創意工夫も必要です。東大だけが大学ではないと言っていないで、東大は少ないけれど、東大あるいは京大(早稲田慶応よりランキングが上の海外大学は200以上ありますしね)よりも世界ランキングが上の海外の大学に2、3人は進学しているよと言いたいものです。

☆そして、そのうえで、本当に大事なことは学歴ではなく、一人ひとりの人間形成だということでしょう。言うは易く行うは難しと叱責されそうですが・・・。

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