09年中学入試に向けて[42]草創期6年めでジャンプする横浜創英
☆横浜創英は、高校は70年近くの伝統を持っている学校ですが、中学はまだ開設して草創期6年目です。学校の草創期というのは、とにかくクラス、カリキュラム、行事、教師の能力など内部環境の充実に力が注がれ、真面目な学校であればあるほど、まだ実績がないからとかまだカリキュラムが充実していないからといって、PRは基本的なことしかやらないものです。
☆同校もおそらくそのような傾向だったのでしょうが、口コミに支えられ、9月23日の説明会はホールがいっぱいになりました。配布資料の数が途中で足りなくなり、あわてて補充したぐらいですから、昨年より参加者は多かったのだと思います。
☆他校の学校説明会と少し違って、学校の理念と子どもたちを取り巻く社会状況や教育について熱く語る教師がいるというのを知人から聞いて、説明会で果たしてどのくらいの時間で話すのかと興味を持ちました。また、ある勉強会でお会いした経営陣の一人の方が、ハイタッチでアクティブだったので、以前からおもしろそうな学校だなと関心を抱いていました。
☆そんなわけで、つまり口コミに誘われて参加してみたのです。すると期待を裏切らない情熱的な副校長のトークを聞くことができました。未来のビジョンとしてOECD・PISAの話や今の閉塞状況を作り出している学歴社会の背景について語りながら、子どもたちのために横浜創英はどんな教育をしているのか情熱的にかつ論理的に語られました。
☆途中5分間の休憩をハサミながら40分以上話されたでしょうか。今どきめずらしい理念先行型の学校説明会だなと思いつつ、聞いていましたが、実は丁寧に、その理念を見える化している教育実践が次々紹介され、あっ、そういうことか、草創期6年間は、やはりこれだけの教育プログラムを日々創意工夫して積み重ねてきたのだなと気づきました。
☆教科学習と体験型の特別学習の両方が6年目でやっと完成したということです。生徒たちのモチベーションを持続させるための仕掛け作りはたいへんきめ細かいのですが、ポートフォリオやログブックとして見える化しているので、ただ教師が一方的に説教をするという指導ではないことが伝わってきました。学びの雰囲気を大事にしているのですね。
☆とにかく学びには体験を介し、その実感から論理を見つけていくというサイクルをあらゆる教育シーンで実践しているんですね。
☆読みの体験をしたら書く。自然体験をしたら書く。海外交流の体験をしたら書く。定期試験を受けたら書く。横浜創英にとって、書くという作業は生徒が自ら考えることであり、教師との対話の場でもあるのですね。そうそうさらに書いたあとは発表するのです。
☆これらの仕掛けは、従来の学校教育とは全く違うことをやっているということを表現しているのです。従来の教育における成績表というのは、その生徒が学園の中でどのランクに位置しているかという表現です。どんなに人間形成を謳っていても、こいう評価の仕掛けをベースに行っているところは、結局は学歴社会肯定派です。優勝劣敗派というわけです。
☆ところが、横浜創英は、生徒とといっしょに一人ひとりが育つポイントを探し、そこをどのようにクリアするかを考える形成的アセスメントをしているわけですね。つまりOECD・PISAのビジョンを地で行っているのです。この教育実践は一般には、なかなか目に見えない実践なので、従来型の成績をくだされる学校環境で育ってきた保護者には伝わりにくいし、まして塾からの理解も得にくいものです。
☆しかし、横浜創英は、それを6年間続けている。そして世の中も、高ストレスを生み出す従来の教育に疑問を抱き始め、未来志向の学校はないか探し始めるようになっている。そのことに気づき始めた保護者もまだまだ少ないとはいえ増えてきた。そこで格差社会でサバイバルできる人間力を望む保護者が、今回ドーンと集まったということではないでしょうか。
☆横浜創英のPR表現の質、教科学習と特別学習の連動の質などは、さらに改善される余裕があります。ということはそれだけジャンプする潜在エネルギーがあるということです。草創期から飛躍して成熟期にシフトするのもそう遠くないのではないかと期待しています。
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