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09年中学入試に向けて[47]東京女子学園のJustice

☆来春、東京女子学園は中学入試の科目を一部変更します。2回午後(2/2午後)入試は、2科目入試から2・4科目選択入試へ、4回(2/5午後)入試も、2科目入試から2・4科目選択入試になります。

☆他校の動向が、4科目入試へのシフトが主流である中で、2科目入試を2・4科目選択入試へシフトする段階で止めているのがおもしろいですね。

☆4科目入試の動向は、「ゆとり教育」の失敗という国民的危機意識と知識基盤社会へのシフトがマッチして、多くの知識とその活用力を養っておきたいという保護者の意識が高まっているというのが大きな理由でしょう。もちろんそれをマスコミが煽っていることにも一因があるでしょう。

☆私学側も勉強する姿勢のできている生徒に入学してもらうことは、6年間一貫の教育にスムーズに接続できるので歓迎でしょう。塾も2科目より4科目の講座をとってくれる方が利益増につながります。受験市場のステークホルダーの利害関係が一致したということでしょうか。

☆しかし、一方でそれはおかしいのではないかという認識もあるわけですね。知識基盤社会というのは、20世紀型産業を支えた知識やその活用方法だけではやっていけない社会であるから、知識の学びの方法を変える必要があるのだという考え方です。

☆知識が足りないとか、知識を覚えるとか、覚えた知識を活用するというのは、これからは第一義的な学びではありません。未知の知識との遭遇だったり、知識を自ら構築しなければならない事態の方が優先順位が高くなっているのが、21世紀型の学びなんですね。

☆一人ひとりの才能を引き出し、知識を覚える作業や時間はICTを活用し効率よく補いながら、同時に議論し、わからなければ同時に調べながら、同時に編集していくという時代です。「学びの観点の同時性」が求められるのです。

☆知識をたくさん知っていることはあまり重要ではないのです。そんなものはWebの世界に入り、検索すれば瞬時に補えます(もちろん信頼性・正当性・妥当性の観点は重要)。問題はアイデアと観点と視座ですね。これをどう持ちえるか。そしてここが個性になります。

☆だから2科目でも4科目でもどちらでも選択の幅があることが大事なのです。ただし、入試だけが21世紀の学びに対応していても、教育の質がそうでなければ意味がありません。だから、2・4科選択入試は、教育の質そのものが20世紀型学びであるならば、それは生徒獲得という経営戦略の色が濃いわけです。逆に21世紀型学びの準備ができている場合は、新しい教育のゲートを開く戦略になるわけです。つまり教育の倫理のための入試ですね。

☆東京女子学園の場合は、後者です。この違いがわかる視点が学校選びの時に持てるかどうかは、今のところ難しいですね。しかし、東京女子学園の説明会に参加して、新しい教育のあり方を体感するとその違いがわかるでしょう。

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