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2008年9月

09年中学入試に向けて[49]海城の内生的進化

☆「海城プレス」の更新頻度は実に高いのですが、それは海城の教育活動が活発だからですね。発信すべき内容が多様であるということなのです。おそらくこの発信力が、麻布、開成、海城、駒東、筑駒という東京男子5強という新しい学校選択グループ(Aグループ)を作るでしょう。

☆桐朋、武蔵、芝がもう一つの選択グループ(Bグループ)、巣鴨、城北、本郷、成城、武蔵工大(Cグループ)がもう一つのグループでしょうか。さて、どうしてこのように分類できるのかその基準は何か?

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私学の経済ポジショニング[29]私学選択は格差社会を拡大するか?

☆日経新聞(2008年9月29日)の連載コラム「まなび再考」において、お茶の水女子大学教授耳塚寛明氏は、高学歴高所得者層の私立中学選択によって、「社会的地位は次世代へと相続される度合を強め、社会の分断化が進む」と語る。要は社会格差を拡大するということだ。

☆一方で、この富裕層の行為を、対価を払い「合理的かつ正当な手段で学力・学歴獲得競争に勝負を挑む」行為とみなしている。もちろん好評価をしているわけではない。さらにこうも表現しているからだ。「彼らが主張するだろう主観的正当性」と。

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09年中学入試に向けて[48]国学院久我山 特進コース強化

☆2009年中学入試において、国学院久我山は、特進コースに入学する生徒を募集するSTクラス選抜の2回目を新設します。STクラス選抜試験は、1回目も・2回目も午後入試であり、2科目試験です。

☆もっとも、「STクラスは、【STクラス選抜入試】の合格者と、一般入試回の成績上位者、および入学前に実施される『学力診断テスト』の上位者によって編成します。」ということで、ST選抜試験以外にも門戸は開かれてはいます。

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09年中学入試に向けて[47]東京女子学園のJustice

☆来春、東京女子学園は中学入試の科目を一部変更します。2回午後(2/2午後)入試は、2科目入試から2・4科目選択入試へ、4回(2/5午後)入試も、2科目入試から2・4科目選択入試になります。

☆他校の動向が、4科目入試へのシフトが主流である中で、2科目入試を2・4科目選択入試へシフトする段階で止めているのがおもしろいですね。

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09年中学入試に向けて[46]江戸川女子の入試変更

☆来春の中学入試において、江戸川女子は、2月1日の初回入試科目を変更します。2科・4科選択から4科入試にシフトすることになります。

☆教育内容が多角的に整備され、充実していますから、4科入試は当然ですが、同女子校の広報戦略は大胆かつ慎重ですから、時代の流れをきちんと見ながら判断したのでしょう。

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09年中学入試に向けて[45]神奈川学園 内生的成長進む

☆2014年に100周年を迎えようとしている神奈川学園。2000年から21世紀プランを宣言してからというもの、教育の質も人気も高まっています。学びと人間性を豊かに育てる新校舎の教育空間のコンセプトもなかなかのものです。

☆来春は中学入試も変更します。3回目の入試であるC日程入試の科目が、2科・4科選択から4科入試になります。

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09年中学入試に向けて[44]玉川聖学院の丁寧な入試

玉川聖学院は、来春の中学入試の回数を3回から2回に変更します。もともと2回だったのを昨年3回にしただけで、サンデーショックを機に元に戻すということでしょうか。

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09年中学入試に向けて[43]着実に歩を進める藤嶺藤沢

☆今年、藤嶺藤沢は、中学を開設して8年め。生徒募集も成功し、進路指導と環太平洋諸国との交流を大事にする国際教育、そしてその両方を統合する「道」の教育も充実しています。この「道」は剣道であり、茶道であり、アートの道。もちろん大学合格実績も問題ないですね。

☆そんな中で、来春の中学入試において、3回とも午前入試の科目を、2科・4科選択入試から4科目入試に変更します。

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15歳問題[03]問題の周辺③

15歳問題[02]問題の周辺②のつづき。子どもたちが15歳に到るまでに、三度壁を超えるチャンスがあるのだが、日本の教育システムではうまくいかない。なぜか?

☆幼児期の時に家庭の中で、子どもたちは才能を存分に開花している。しかし言うまでもなく、子どもたち自身が意識しているわけではないから、放っておくと、枯れてしまうケースがほとんである。むかし神童、いま凡人というフレーズはまことのことなのだろう。

☆なぜなのかというと、たいていの家庭では、「のびのび型」の学びの環境を、小学校に入学する時点で、「きっちり型」の学びの環境にシフトしていくからだ。

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15歳問題[02]問題の周辺②

☆「15歳問題[01]問題の周辺①」のつづき。「15歳問題」を予想するロスジェネをめぐる物語については、三浦展氏の著作「格差社会のサバイバル術―生き残りを賭ける人と企業 (学研新書 36)」を参照していただき、現代思想や社会批評的な枠組みとしては、宮台真司氏と速水由紀子氏の対話編「サイファ覚醒せよ!―世界の新解読バイブル (ちくま文庫)」東浩紀氏の「動物化するポストモダン」を参照していただくことにして、ここでは、動物化するあるいは存在の響きが限りなく弱くなる社会システムの準拠をみていきたい。

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09年中学入試に向けて[42]草創期6年めでジャンプする横浜創英

横浜創英は、高校は70年近くの伝統を持っている学校ですが、中学はまだ開設して草創期6年目です。学校の草創期というのは、とにかくクラス、カリキュラム、行事、教師の能力など内部環境の充実に力が注がれ、真面目な学校であればあるほど、まだ実績がないからとかまだカリキュラムが充実していないからといって、PRは基本的なことしかやらないものです。

☆同校もおそらくそのような傾向だったのでしょうが、口コミに支えられ、9月23日の説明会はホールがいっぱいになりました。配布資料の数が途中で足りなくなり、あわてて補充したぐらいですから、昨年より参加者は多かったのだと思います。

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≪学校選択指標≫クオリティスコア×偏差値×大学実績[08共学]

≪学校選択指標≫クオリティスコア×偏差値×大学実績[08女子]のつづき。共学校のリストを公開する。首都圏の公立中高一貫校は最近開設されたばかりなので、大学合格実績についてはこれから。したがって、今回はリストに載せなかった。

☆桐蔭については、共学としてまとめた。かえつ有明などは共学になり、校舎移転してからまだ3年目で、実績はでていないが、教育の質の向上を目的にさらに創意工夫がなされているので、参考までにリストに載せた。

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≪学校選択指標≫クオリティスコア×偏差値×大学実績[08女子]

≪学校選択指標≫クオリティスコア×偏差値×大学実績[08男子]のつづき。今回は女子のリストを公開する。条件は男子校の場合と同じ。クオリティスコアが高くても、3つの指標の条件がそろわない場合、リストに載せていない学校もある。

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≪学校選択指標≫クオリティスコア×偏差値×大学実績[08男子]

☆これまで12の学校選択指標でクオリティスコアを出してきたが、偏差値と大学合格実績を並べる一覧を作ってみることにした。というのも、偏差値にこだわらず学校選択が可能であることを一目瞭然にしてほしいと、幾人かの編集者から問われたからである。

クオリティスコアは、「名門中学の作り方」(学研新書)を執筆するときに少し見直した。本ブログでは、2007年版しか掲載していないので、2008年版ということになるか。従来は、クオリティスコア2.8以上しか公開していなかったが、今回は2.6以上の準クオリティスクールも一覧に加えた。

*クオリティスコアについて→学校選択というコト[01]

☆偏差値は、各テスト会のものを参照・吟味し、筆者の方でレンジ別に整えた。クオリティスコアとの相関を考えるうえでは、コンマの違いは意味があるわけではないと判断した。

☆大学合格実績は、「2008年度版大学入試全記録 高校の実力」(サンデー毎日特集版)を参考にし、東大、京大、早稲田、慶応、上智、ICU、MARCHの合格者数が、卒業生数に占める割合を、これもレンジ別にした。

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09年中学入試に向けて[41]芝浦工大の中学入試変更から見えるコト

☆来春の芝浦工大の入試に小さくて大きな変更があります。それは募集定員と試験科目の変更です。第1回(2/1)入試の定員を40名から50名に、第2回(2/2)を80名から70名に変更し、試験科目を第1回(2/1)2科目入試だったのを4科目入試にします。

☆これによって、同校のすべての入試が4科目入試になります。今まで2月1日だけは2科目入試だったのにそれを4科目にし、しかも定員も増やしたのですから、敬遠されるのではと思う方もいるかもしれません。

☆しかし、それは全くないでしょう。むしろ芝浦工大の未来への意志がはっきりと伝わり、2回目以降にチャレンジしていた4科目組が、2月1日も受験するという流れができると思います。

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09年中学入試に向けて[40]横浜国際女学院翠陵の中学入試の背景

横浜国際女学院翠陵は、来春2月1日(午前)の入試科目を2教科入試から2科・4科選択の入試に変更します。これによって、すべての入試が、2科・4科選択入試となったわけです。

☆おそらくどこの学校でも実質4科目を選択する生徒の方が多くなっているので、この流れを全面的に受け入れたのでしょうが、単純に広報戦術上の変更ではないと思います。

☆2010年、2011年になると、2科・4科選択入試から4科目入試にシフトする回も増えていくのではないでしょうか。

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09年中学入試に向けて[39]富士見丘の中学入試の変更の意義

☆来春、富士見丘は、中学入試の募集定員を次のように変更する。

WILL(2/1)入試の定員を、30名から40名にする。それに伴い、2/1午後40名を30名に、2/2午後40名を30名に定員の配分を変更する。

☆サンデーショックの混乱を想定し、2月1日に生徒を獲得するのがねらいだろうと誰でも思うだろうが、実はそれだけではない。広報戦術上の問題より、日本の教育改革を見据えた入試改革である。

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09年中学入試に向けて[38]フェリスの中学入試の変更の意味

☆来春2月1日は日曜日。ご承知のように、サンデーショックとか、立場によってはサンデーチャンスとか言われる中学入試の年ですね。プロテスタント校である女子校は、日曜日は礼拝がありますから、入試は行えません。そこで、2月2日に入試日をシフトするので、サンデーショックと呼ばれています。

☆フェリス女学院も2月2日にシフトしますから、桜蔭と併願できることになり、応募者が倍以上に増えることが予想されます。するといつもの年より、調査書を作る小学校の担任の先生の負荷(負荷ととらえるか、子どもの未来のために喜んで汗を流すととらえるかは先生によりますが)が増えます。

☆そこで、フェリスは、調査書は通知表のコピーでよいと変更することを決断しました。桜蔭も通知表のコピーを提出ということになっていますから、バランスを考慮すると妥当ですね。

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15歳問題[01]問題の周辺①

☆今日、当たり前のように「ゆとり世代」、「ロストジェネレーション(ロスジェネ)」「オタク」「フリーター」「二ート」「不登校」「下流」「格差問題」・・・といったマスコミの時代のキーワードは、学校問題、就職問題、労働問題として取り上げられている。

☆そしてその共通の根っことして、「動物化するポストモダン」「ポスト近代化能力」という時代の枠組みがある。大きな物語や価値観を必要としない世代、自分の興味と関心領域で生活することで満足する世代とする若者論が世を席捲している。

☆そしてその中心的対象は、やはり25歳から35歳の団塊ジュニア世代である。この世代は12歳前後当時からベルリンの崩壊とバブル経済の崩壊の両極端に遭遇し、95年以降のIT革命とIT経済の崩壊に直面している。垂直組織からフラット組織へのシフトとその失敗の間を揺れ動いている。成果主義が求められているかと思えば、すぐさまプロセス重視の仕事が求められる。

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09年中学入試に向けて[37]入試における八雲学園の意義

☆今年70周年を迎え、中学再開13年めを迎えた八雲学園は、「受験市場」に大きなよい影響を与えています。リーマンブラザーズやAIGの金融市場の混乱は、98年・99年の私学危機に影響を与えた日本の金融危機を彷彿させますが、あの時期、八雲学園は教育の質の競争で「受験市場」を乗り越えたのです。その意義は忘れてはなりません。

☆「受験市場」は基本的に優勝劣敗という明治以来変わらず続いている≪官学の系譜≫がベースです。そこに≪私学の系譜≫を臆することなく、プロジェクトしたのが八雲学園ですね。

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09年中学入試に向けて[36]70周年を迎えた八雲学園

☆2008年9月15日八雲学園の説明会が開催されました。会場の体育館は、2年前から満杯状態になっていますが、今年はさらに参加者が増え、ついに後ろの壁ぎりぎりまで、椅子が並べられました。

☆今年同学園は70周年を迎え、その記念に制服が新しくなったり、エンブレムのデザインなどが変わりました。しかし何より、生徒、教職員、保護者が一丸となって、内生的成長期に入ろうとしている教育の質の大転換の雰囲気に満ちていました。

Photo_2 ☆そのことは、当日配布された資料をグラフ化してみると一目瞭然です。中学再開の草創期は、ちょうど日本の経済の空白期で、98年・99年は、その負の影響が私立学校を襲いました。私学危機と私は呼んでいます。この時期を乗り切れたかどうかで、その後の学校の成長の分かれ目になったのですが、八雲学園は見事に乗り越えましたね。

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09年中学入試に向けて[35]中学入試における鴎友学園女子&共立女子の意義

☆前回、≪私学の系譜≫と「受験市場」のジレンマについて指摘しました。≪私学の系譜≫を継承している偏差値の高い男子校は、優秀生を囲い込み、東大合格実績を競う「受験市場」を結果的に強化すると。

☆開かれた知を育成しながら閉じられた知の社会を強化していく可能性の方が大だということです。もちろん、知の鎖国は、外部から崩されますが、植民化されないためには、内部の中に開かれた知が水面下に浸透している条件設定が肝要です。

☆戦後の教育基本法の成立過程がその象徴でした。ですから、表層的には、「受験市場」の強化になっていますが、≪私学の系譜≫を保守することが、これまた逆説的に新しい教育の質の市場が開かれるチャンスが広がっている可能性も残されています。

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09年中学入試に向けて[34]筑駒・開成・麻布・駒東・栄光・聖光の同一招集日の意味

☆来春の中学入試が終わると、入学式の前にどの学校も、入学の準備の説明会をやります。もちろん、合格者のうちどのくらい入学してくれるのかそれを確認し、併願他校に入学しないように囲い込む目的もあります。ですから招集日の設定は、戦術的に行わねばならないわけですね。この見事な戦術を実行しているのが、筑駒・開成・麻布・駒東・栄光・聖光です。09年は、この6校の招集日は、2月11日で、同日程なのです。

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私学の経済ポジショニング[28]聖ドミニコ学園の深層

聖ドミニコ学園は幼稚園から高校まであり、中高一貫校という切り取り方で理解することは不可能である。というのも、小学校までは男女共学で、中学からは女子校になるため、小学校で卒業する男子の数だけ中学受験で募集するから、テスト会の偏差値では学校の深層を汲み取ることができない。

☆また、進化論的合理的官僚的近代化路線である欧米普遍主義とは相いれない、解放としての普遍的普遍主義がゆえに、東大を頂点とする学歴社会も度外視しているため、大学進学実績だけでは、やはりその深層は測れない。

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09年中学入試に向けて[33]東京純心女子中の入試変更の意義

☆来春から東京純心女子は、2月1日(日)午後に、定員40名の【1日午後SSS】入学試験を新設します。 名称は、「スカラーシップ・スチューデント・セレクション」(奨学生選抜)の頭文字をとっているようです。成績優秀者15名を選抜し、入学金(24万円)免除の特典を与えるシステムです。入試科目は2科目。それから、2次(2/3)試験の入試科目は2・4科選択から4科目へ変更に。

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09年中学入試に向けて[32]白梅学園清修の第一回説明会~サプライズ

☆9月6日、白梅学園清修では、第1回目の学校説明会が行われました。参加者は約170名で、人数・組数ともに昨年に比べ2割増加だったそうです。今回は樋口校長の挨拶の後、保護者向け説明と小学生向け説明の2つに分けて行ったということです。

☆保護者へは柴田副校長より「清修で育てたい生徒像」について、畔上先生からは「一期生の成長過程にみる清修の教育」について生徒と教師の関わり・コミュニケーションを中心に話をしたようです。両先生のお話の中身の豊かさと強烈なパッションについては、保護者のアンケートの幾つかが、柴田副校長のブログで公開されています

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09年中学入試に向けて[31]日大グループの入試改革

☆来春以降の中学入試において、日大グループが次々と入試改革を実施しますね。定員などの変更もありますが、何と言っても入試科目の4教科シフトです。

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09年中学入試に向けて[30]星野学園 新設「理系選抜クラス」の意味

☆来春、星野学園の中学入試において、「理数選抜クラス」のための試験が新設されます。1/10に1回理数選抜(定員25名)、1/14に2回理数選抜(定員15名)を新設するということです。これ以外に、一般入試が3回あるわけですが、合わせて5回の入試の試験科目はすべて4科目になるそうです。

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09年中学入試に向けて[29]気になる学校 小野学園女子

小野学園女子の教育改革は、注目に値します。高大連携によるサイエンスの実験ベースの授業をはじめ、とにかく理科中心の教育改革が進んでいるからです。体験学習とは違い、学びのモデルを通して、仮説を立て、論理的に証明していく、21世紀のクリエイティブ・クラスには欠かせない才能・技術を育成する教育を前面に押し出しているんですね。

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09年中学入試に向けて[28]カリタスとドミニコ

☆今週の「読売ウィークリー(2008.9.21)」には、教育ジャーナリストの鈴木隆祐氏によるカリタス小とドミニコ小の取材記事が掲載されています。カリタスとドミニコは、カナダ管区のカトリック修道会にルーツを持っているし、幼稚園の育児の手法もモンテソッリ流儀。フランス語の授業の環境も両校は持っていて、似ています。しかし、今回の取材で、違いもはっきり表現されています。

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09年中学入試に向けて[27]中村中 百周年迎える準備着々

中村中のサイトによると、同校と清澄庭園・清澄公園の間の公道に「清澄庭園・中村学園通り」という名前が付けられということです。地元清澄町の市民が江東区に申請し、実現したというのですから、中村中の地域というか都市と豊かなコミュニケーションが行われてきたということでしょう。

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私学の経済ポジショニング[27]OECD専門家セミナーと白梅学園清修[了]

私学の経済ポジショニング[26]OECD専門家セミナーと白梅学園清修⑪のつづき。白梅学園清修の形成的評価活動がOECD/CERIのジャネット・ルーニー氏の考え方とどれくらいマッチングしているのかについて観てきた。ルーニー氏の形成的アセスメントを構成する6つの要素に照合しているのだが、どうやら要素3までのマッチングで十分であるという気がしてきた。要素4以降は、要素3までに照合してきた清修の活動ですべて語れてしまうからだ。もはや要素5と6について語る必要もないが、念のため確認して今回の作業は終了ということにしたい。

☆要素5は「生徒の学力達成状況へのフィードバックと確認されたニーズに応じて授業を合わせること」。サブテーマは2つ。

1)効果的なフィードバックを与えるとは、

 ●タイムリー

 ●特定の

 ●改善の示唆を与える

 ●児童生徒達成事項への期待に関する明示的なクライテリアに結ばれる改善のための示唆を含む

 ●学習の成果物というよりはプロセスに焦点を当てる。

2)フィードバックプロセスで集められた情報は、児童生徒のニーズに教師が授業をよりよく合わせるのに役立つ。

☆フィードバックは質問―回答の連鎖であるコミュニケーションと同じである。また、生徒のニーズに合わせて授業を改善する教師同士のコミュニケーションは日常茶飯事。この要素も十二分に満たしているといえる。

☆要素6は「学習プロセスへの生徒の積極的な関与」。サブテーマは4つ。

1)足場組の学習

2)生徒が学習方略(戦略)のレパートリーを作りだすのを手助けすること

3)ピア(仲間による相互)アセスメントや自己(把握・申告)アセスメントのための技能の機能

4)生徒の役割をピアアセスメントと自己アセスメントを活用して高めること

☆この活動は、入学するや始まる。チーム学習、議論、自己評価、チームビルディング、ロールプレイ、編集、プレゼンテーションなどがすぐに始まる。これら自身が足場組の学習でもあり、電子ボードを活用した授業やイギリス研修のレポートづくり、数学のレポートづくりなどに飛び火していく。セルフラーニングタイムはその結晶態だろう。

☆かくして白梅学園清修はOECD/CERIの考える形成的アセスメントの教育活動をパーフェクトに満たしている。ゆえに、今回の専門家セミナーで報告を要請されたのであろう。

Photo ☆ところで、この形成的アセスメントができるには、ある大きな条件がある。それは授業のシステムが従来の知識の不足を補う座学形式ではできないということである。古くて新しいこの活動。なぜ日本の教育システムになじまなかったのか。それは当然だろう。一方通行的情報伝達・確認の講義形式が中心だったからである。

☆もはや言うまでもないが、私はしつこい性格なので、確認したい。白梅学園清修で形成的アセスメントが完遂されているということは、他校にはない授業システムが浸透しているということであり、このシステムを理解できる中学受験生とその保護者、そして塾関係者は相当見識があり、未来志向であるということである。つまり白梅学園清修の教育の質を理解できるかどうかは本質的教育を理解できるかどうかの試金石=クライテリアなのである。

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私学の経済ポジショニング[26]OECD専門家セミナーと白梅学園清修⑪

私学の経済ポジショニング[25]OECD専門家セミナーと白梅学園清修⑩のつづき。形成的アセスメントを構成する4つ目の要素は、「生徒の理解をアセス(把握・予想)することへの様々なアプローチの使用」。サブテーマは3つ。

1)診断的アセスメントの使用。

2)質問する。

3)テクニック(信号機)、手を挙げさせる代わりに考える時間、ポートフォリオ・ログブック・およびルーブリック。

☆3)の信号機というのは何を意味しているのかわからない。ちゃんと質問しておけばよかった。たぶん生徒の能力を知る手がかりを教師側の勘ではなく、パソコンで分析できるようなソフトやアプリケーションのことだろうか。ともかく生徒がわかる・わからない・あいまいなどの信号を記号で自ら示す技術のことだとは思うが。

☆仮にそうだとすれば、白梅学園清修の場合は、上記3つのサブテーマについて、今までご紹介してきたきたことですべて説明がつく。

☆中でも2)の質問するという行為は、ポイントである。まず質問するというのは、コミュニケーションの基礎である。一方的に教え込む授業は、言葉を放っているから、コミュニケーションが行われているように見える。

☆しかし、日常のコミュニケーションでも、議論でも、自分で考えるという自問自答でも、コミュニケーションとは質問と回答の連鎖なのである。質問のない言葉状態は、コミュニケーションではない。ディスコミュニケーションというのである。

☆言葉であふれる空間。しかしそれはディスコミュニケーションなんて状態を想像するだけでゾーーッとする。意外と多いんだなぁ。そんなディスコミュニケーションを撲滅する方法は質問と回答の連鎖をオープンに形成していく日常が必要だが。それは柴田副校長のブログを見れば実に豊かに広がっていることが直感できる。

☆さらに質問のポイントは、教師側からだけではなく生徒側からもということ。それから質問のタイミングとレベルバランスがポイント。タイミングを逸すると、モチベーションを下げる場合もある。今考えているのに・・・となる。それからレベルバランス。確認のための質問ばかりだと、対話が疲弊する。インスパイアーする刺激的で盛り上がるコミュニケーションを生み出す批判的で創造的な質問も必要。白梅学園清修の言語空間は質問と回答の多次元空間で満ちている。世は批判的質問を非難だと誤解する環境が多いというのに。

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世界開きの学び[03] 橋下知事の発言

☆橋下知事の発言は、良し悪しは別として、大阪府の職員にどよめきを与える。大阪府の自治体組織という村落共同体の中で十分に生活ができたのに、何も風(いや風邪のウイルス?)を吹き込まなくてもよいではないかという不安が生まれるのだろう。世界に開かれるチャンスなのに、橋下知事の圧力をはね返そうと自治体メンバーも必死。不安は抑圧から生まれるのだが、橋下知事の抑圧は、悪玉か善玉か、それは歴史が決めるといったところか。

☆さて、今回の全国学力テストの結果公表についても、橋下知事の世界開きの発言は興味深い。≪【風】学力テスト 公表是非にご意見を(9月2日15時31分配信 産経新聞)≫によると、

「結果が出ないから教育委員会が甘えていられる。市町村ごとの点数を公表すべきだ」。2年連続の全国学力テストの結果低迷を受け、大阪府の橋下徹知事が怒っている。

☆とある。これに対し、府教委は知事の提案をはねのけた。理由は、同紙によると、

文部科学省が「市町村名や学校名を明らかにした公表は行わない」と通知しているためだ。府教委小中学校課の担当者は「データを預かっているだけの府教委が開示を決める立場にはない」としており、他の都道府県教委も市町村ごとの公表は行っていない。

☆なんて合法的な答弁だろう。簡単にいえば、決まりですからということ。なぜ数学を学ぶの?と生徒から質問があったら、教師は、将来役に立つし、決まりだからと回答するケースが多い。こういう対話が行われる教室を、Dale Parnell氏(Why Do I Have to Learn This ?の著書。クリントン政権時代の教育のブレインか)なら凍てついた教室と呼ぶだろう。

☆まさに凍てついた府教委ということか。橋下知事の熱い発言が解氷することができるだろうか?しかしながら、すでに今回の全国学力テストマクロ分析は、国立教育政策研究所ホームページで公開されている

☆まず橋下知事がこれを見れば、大阪府の教育をどういう方向に改革するかおよその検討がつくはず。多忙なのだから、この概略をまとめたレポートを見て、詳細は府教育と相談すればよいのではないか。やはり北風より太陽の方がよいのではということだ。もっとも星新一のパロディーでは、今の世の中北風が勝つことになっているが。

☆それはさておき、ざっとマクロ分析を見てみよう。大阪府全体の調査レポートを見ればよい。すると小学校時の読解リテラシーの差が、中学校時の読解リテラシーと数学的リテラシーの両方の差に影響しているのではないかという直観的な見方ができる。学者は、その信頼性や正当性を証明できないというだろう。そりゃそうだ。生徒も違うし、問題も違うわけだから。だからこういう判断は学者に聞くと、政策判断が鈍る。

☆体験的なものの見方が有効な時もある。もちろん仮説にすぎないから検証はしなくてはならない。大阪府の小学6年生の国語A全体の正答率は大阪府は62.7%(全国65.4%。以下カッコ内は全国の正答率)、国語Bは67.1%(74.1%)。これに対し算数は、A問題は71.2%(72.2%)、B問題は49.9%(51.6%)で、国語ほど大騒ぎするほどの差ではなさそうだ。

☆小学6年生の弱みはどこだろう。1つひとつの問いの正答率も全国と比較されているから、目を通して見るとよい。すると、文章の工夫(レトリック表現)の理解の問題は、67.6%(74.1%)であることが目につく。また、心情について説明記述する問題も、40.3%(45.0%)で差が目立つ。

☆両方とも、直接的な表現ではなく間接的な表現に置き換えられている仕掛けに気づき、そのうえで推論しなければならない問題だ。言葉で言葉を置き換える問題で、柔軟性、多角的なものの見方、表現力などの基礎が必要だ。

☆大阪府の中学3年生の弱みはどこだろう。まずは国語。A問題は70.5%(73.6%)。B問題は53.0%(58.1%)で、小学生時代と比較しても差が改善されていないと仮定できる。数学のA問題は、60.5%(63.1%)。B問題は65.9%(71.1%)で、差が広がっているではないか。

☆一問一答見ていくと、国語のB問題で顕著なのは、書きかえる問題が20.6%(26.5%)の開きがある。80字から120字以内の記述問題は48.6%(60.5%)、70字から100字以内の記述は45.1%(53.7%)である。記述問題はなんとかしなくてはならないということではないか。数学のA問題では、グラフの読み取り問題が65.9%(71.1%)。B問題では、問題解決の数学的説明問題が43.6%(50.9%)であった。

☆こうしてみると、小学時代の読解リテラシーの育成プログラムの改善が喫緊の課題ではないかということになる。論理的文章をベースにした文学的文章のレトリックとかメタファーを読み説明記述する教材やプログラムの開発ということ。

☆これは大いに楽しんで子どもたちが取り組めるプログラムになるので、モチベーションもアップするはず。そうしておかないと将来橋下知事のような論理とレトリックを理解できる未来の市民が育たない。大阪教育氷河期の雪解けを望むならば、まずはできるとことから。公表問題も解決しなければならないが、いまここでの生徒たちの成長をとめることはできない。

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09年中学入試に向けて[26]NTS教育研究所の興味深い講演会

NTS教育研究所企画の講演会「クリエイティブ・スクールを探せ!」が、今月13日(土)立教女学院で開催されるようです参加する学校が実に興味深いですね。学習院女子、立教女学院、国学院久我山、早稲田中の4校です。

☆この4校にはある重要な共通点があります。89年のベルリンの壁が崩壊後、日本の若者(ゆとり世代なんて言われていますね)は、自分をあらゆる組織から自立させるアイデンティティ、あるいは大きな物語、存在の響きといった普遍性などなどを失っていると言われています。

☆自分の興味と関心のある物や者との関係性は大事にするのですが、その関係性は、小さな組織に帰属し、村落共同化し、そこから外に出て共生できる原理が喪失してしまっているというわけです。

☆ところが、今回の講演会に参加する4校は、理念は違うものの、村落共同体的タコツボ組織から自立できる精神構造を養える教育環境を有しています。学習院女子と国学院久我山は、天皇あるいは神道的な世界性をクライテリア(規準)として、小さな村意識からは自立できるハビトゥス(文化再生産文脈)を持っています。立教女学院の場合は、キリスト教ですね。早稲田中は、実は親に冷たい学校なんて自ら語っているぐらい、家庭からの自立が徹底されています。

☆共同体の中でチームづくりをするのと、組織横断的協働的な自立したメンバーがチームづくりをするのとでは、似て非なるパフォーマンスになります。21世紀の生活は、もちろん後者の価値観に支えられることになります。

☆それにしても、国学院久我山は個人的にも興味があります。東大の数学の問題を女子部の生徒は中学段階で解くプログラムがあるらしいのです。高校の数学を先取りするのではなく、中学の数学の範囲内で。東大の問題を解くのが目的ではなく、そのレベルの問題を中学で解くとなると、自ら思考しなければならない必然的な状況が生まれるわけでしょう。その状況はギリシャ哲学以来ずっと数学の世界で行われてきた幾何学的思考です。

☆学習指導要領については、筆者自身は批判的な側面もあるけれど、中学までの数学というのは、実は19世紀までの数学の成果、たとえばデカルト的思考のレベルであり、高校数学は19世紀末以降の現代数学の成果が反映していて、評価すべき点もあります。ただ、そういう観点で現場で数学を扱うことはほとんどないでしょう。

☆ところが、国学院久我山には、そういった数学の本質的問いかけができる教師がいるのですね。そしてその数学的思考の世界こそ、村落共同体から離脱できる原理に通じます。もっとも、受験生には、こういう話は余計でした。とにかく質の高い教育を実践している学校ばかり参加しています。ふだん聞けない話も、受験生目線で聞けるでしょう。立教女学院の校舎や庭園も心地よい環境です。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

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09年中学入試に向けて[25]攻玉社の入試変更の意図?

☆来春の2月1日は日曜日。多くのプロテスタント校は、女子学院のように2月1日から2月2日に入試日をシフトします。安息日は礼拝で祈らねばならないからです。そのシフトに伴い、2月2日入試校が1日にシフトしたりします。したがって、来春の入試変更の多くは、入試日の変更であり、この動きを受験業界では、サンデーショックと呼んでいます。

☆そんな中で、前回ご紹介した栄光学園のように、試験そのものという本質的な変更をする学校があります。攻玉社もそのような学校の1つであり、日本の教育危機にあって、小手先の変化ではなく、内生的成長変化を果たし、その危機を乗り越えようとしている学校です。攻玉社のホームページを開くと、「百年一貫教育」という覚悟の表出・表現が目にとまりますね。

☆さて、同校の来春の入試変更点は、次の2点です。

1)特別選抜(2/6)の算数Ⅰの試験時間を40分から50分へ。

2)国際学級(1/10)の英語筆記の試験時間を40分から50分へ。

☆今まで以上に思考力を重視する試験問題になるということでしょう。同校のホームページによると、≪「夢・化学-21」委員会と日本化学会化学教育協議会が主催する「全国高校化学グランプリ2008」が8月23日・24日の両日、東京工業大学で行われ、本校の下川隆一君(高3)が見事、金賞を受賞し≫たということのようです。

☆理科が専門である菊池校長の面目躍如といったところでしょう。日頃の化学のレポートの添削の成果なのではないでしょうか。攻玉社は成熟期を迎えて久しいのですが、この時期の停滞リスクを回避する内生的成長の努力が日々なされています。それが入試変更点にも表れているということでしょう。

関連記事)→時代の動乱期にビジョンを示す攻玉社

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09年中学入試に向けて[24]栄光学園の入試変更の意図?

☆2009年の栄光学園の入学試験に少しだけ変更点があります。同学園のホームページによると、

1) 算数の試験時間が10分長くなります。
2) 学科試験で教科の順序が変わります。
3) 配点は今までどおりです。

☆算数の試験時間が10分長くなり、60分間になるのですが、考えてみれば、開成、麻布、駒場東邦も算数の試験時間は60分間ですから、もっと前からそうであってもおかしくなかったわけですね。

☆10分長くなったから難易度があがるなんてことは、ないでしょう。むしろ、考えてほしい過程が時間が足りなくて、雑に扱われていて、才能を判断する時間としては余裕がなかったという反省があるのかもしれません。

☆じっくり考えるというのではなくて、公式をあてはめて機械的に解くのでは、シンプルな考えで考えて欲しいということではないでしょうか。シンプルに考えるには、最初の問題の把握のところで、どういう方向性で考えるか、いくつかの思考過程や方法について思いめぐらし、選択判断する時間が少し必要ですね。

☆この時間を少しとったのでしょう。開成、麻布、駒場東邦も解く時間の設定においては同じような妥当性を感じていることでしょう。

☆もちろんどんな解き方でも、正しい解答がでることが最優先ですから、あまり気にしなくてもよいのですが、解くときに情報を整理し、シンプルな情報を活用して解くと、すっきり解けるという問題を栄光はいつも出しているのは確かです。過去の問題をていねいに、いろいろな角度からとらえておくことは必要ですね。数学的思考力を受験の段階で養えます。これが栄光学園に入学してから差がつくところです。

☆栄光学園の算数の学びが、入学後の数学への入り口になるような取り組みになることを祈ります。そういうことを意図している塾の先生に出会えると幸せですね。

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09年中学入試に向けて[23]渋幕のカリキュラムの一貫性

☆電車に乗ると、日能研のあの「シカクいアタマをマルくする」が目に入ってきました。渋谷教育学園幕張(以降は渋幕)の算数の問題が掲載されていました。思わず解いてしまったのですが、なるほど渋幕のカリキュラムは一貫性があるなと感心しました。

☆2点AとB、そして直線があります。直線はABの間にはありません。そのとき直線上のある点Pを通過して、AからBに行く時、A→P→Bの距離が最小になるときのPを作図しなさいという問題を思い起こしてください。この問題の応用が今回の渋幕の問題でした。

☆垂直とか垂直二等分線とかをどう描くかがポイントなんでしょうが、要は角度と線分なんです。この2つは回転の概念とベクトルの概念のトリガーなんですね。

☆概念が物質化する。つまり見える化としては、今回の条件では二等辺三角形がイメージできるとよいわけです。

☆中学受験の段階では、この「概念」という媒介項は学びませんから、物象化した二等辺三角形で解けばよいわけですが、このような問題を出題する意図は、「概念」の物象化の熟練を要求しているわけですね。

☆算数から数学に移行するには、この「物象化」という当たり前になっている考え方を、中学の数学の授業の中で解放する作業が必要です。「物象」から「関係性」の「概念」へ導き、再物象化できるようにするのです。

☆面積図を活用するのが巧みで、そのために算数が得意だった生徒が、ときどき数学に飛べない期間があります。面積図は積分関数の一つであるという概念と結びつくまでに、時間があくのが通常のカリキュラムですから、再物象化できないまま悶々としている生徒もいるんですね。ここは中学受験塾の算数の講師が数学的背景を持っていないときにおこるリスクです。

☆さて、それはさておき、中学受験では、直観的に物象化。だからそのままだと型から外れないんですね。再物象化は、関係化ともの化を意識して行ったり来たりできることです。この再物象化をするには、中学受験の時に初等幾何の型を徹底的に学んでおくといいわけです。先に述べたリスクも当然あるわけですが。

☆再物象化の前提としての物象化ができていないと、解放しようがないからです。作図というのは物象化する作業ですね。これができないと、微積分がうまくいかないのです。

☆そして、この作図ができて、なおかつ再物象化ができる状態になっていると、行列や三角比で解くはずの問題が、初等幾何の発想でも解けてしまう。あるいは解法の方向性を見通せるのです。極端な話、東大の数学の問題を、中学生の段階で解けてしまう場合があるのですね。もちろん、東大の問題を解くことが目標ではありません。「物象化→概念(関係化)→再物象化の循環」こそ、思考力のプロットタイプです。

☆渋幕の人気、教育の質の高さ、実際に進学実績で結果も出している。文句のない名門中学なのですが、その本質を、算数の入試問題で解読することができるのですね。渋幕の算数の中学入試問題は、中高のカリキュラムに結びつき、思考力育成にまでつながっているのですから。この知の一貫性が渋幕の本当の魅力なのでしょう。

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09年中学入試に向けて[22]恵泉女学園を照らすミチのランターン

☆今春、安積前校長は恵泉を去られ、山形の基督教独立学園高等学校の校長に就任されたと風の便りで知りました。安積校長とは、2度ほどお目にかかっています。といっても、姿を目にしただけで、安積校長は私のことを知らないでしょう。

☆一度目は私がNTS教育研究所の仲間といっしょに企画した第一回≪未来を創る学校≫セミナーでお会いしました。今振り返れば、このセミナーは、多くの≪私学の系譜≫の重鎮の先生方に講演やパネラーをお願いしていましたね。その中で盟友岡部憲治氏にも、グローバルな視野で学校の未来予測をしてもらいました。

☆多角的なデータをベースに、日本の教育は変わらなければならないというか、変わらざるを得ない、国際政治経済そしてイノベーションの力学が働いているという挑発的な講演でしたが、安積校長は、そこに若き教育評論家岡部氏の表出の遠慮に、すぐにも気づいたのです。セミナー終了後も、ずいぶん岡部氏と議論していました。

☆私はセミナー全体のプロデュースをする側だったので、直接議論に加わることができず残念でした。とにかく仲間が、心配だから様子を見に行ってくれないかと呼びに来たので、近くまで行ったのですが、すぐに岡部氏に対する愛情の議論であると直感しました。岡部氏のセミナーはいわゆる出来るヤツの表現の集積です。そこに感情の表出はありません。でももちろん熱い人類愛を有しています。そこが基準になって表現は編集されるのですから。

☆安積校長はそのことは百も承知で、だからこそこういう未来を見通す若者の気持ちを表出してほしかったのでしょう。愛の気持ちを無意識の中に閉じ込めるのはもったいないと。岡部氏もそのことは十分わかっていました。そのうえで、セミナーにおいては、表出は自らがするのではなく、あくまで自らの表現が、参加者の表出を喚起するというロールプレイに徹したのだということを「表出」しました^^)。すると安積校長は、期待してるよという眼差しを投じて、去りました。

☆二度目は、京北学園の川合正校長が企画した心理学のセミナーで講演者に鋭い質問をされている姿をお見かけしました。東京私立中高協会主催の私学研修会の分科会の一つです。そこで千葉大の若き心理学の教授が、フロイトモデルを持ち出して、低学年から無意識を抑圧する超自我の育成の重要性を訴えました。安積校長にとって、超自我の超自我は、イエスキリストですから、だいぶ違和感を抱いたようです。キリスト教的には、この超自我は、裁くのではなく、救うのです。抑圧するのではなく、開放するのです。知識を詰め込み自動化するのではなく、創造的タレントを想起するわけです。

☆若き心理学者は、おそらくキリスト教を知らなかったのでしょう。あくまでフロイトの理屈に沿って何度も説明していました。安積校長は、感情の表出を抑圧する教育システムは許せなかったのでしょうね。

☆その安積校長が、基督教独立学園に転任されたと聞いて、一貫したそして純粋な生き様に感動しました。

☆さて、本題の恵泉女学園の話ですが、安積校長が去っても、学園全体の魂は変わりません。創設者河井道の「わたしのランターン」は今も光を放っています。学校は人が創るものですから、人が変われば、組織も変わります。でも変わらない組織もありますね。組織は機械ではありません。人は自分の精神よりも大きな魂を受け入れることができます。

☆かつて、私は恵泉女学園についてエッセイを書いたことがありますが、今もそれ以上書くことはできません。ただし、河井道がかかわった戦後教育基本法が、2006年に改正されました。世の中が河井道の精神を忘れようとしている危うい時代です。河井道について知らねばなりません。少し関連書籍を読んでみる必要性を感じている今日この頃です。

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09年中学入試に向けて[21]八雲学園~さらに変化

八雲学園は成熟期を迎えています。したがって、質の持続可能というところでよいのですが、学内では、同じことをやっていても持続するのはなかなか難しいということについて、了解しています。つまり内生的成長をいかに果たしていくか、それが課題なわけで、だから毎年質への挑戦をするのです。

☆今年も変化がありました。それは来春の入試において、4科目入試を実施するということです。4回の入試のチャンスのうち、3回は、2科・4科選択なのですが、3回目(2月4日)は、国語・算数・理科・社会の4教科入試になります。

☆しかし、もともと2科・4科選択の場合でも4教科で受験する生徒の方が多いわけですから、今回の変更は、いずれすべてのチャンスで4教科入試を実施しようという目標の準備だと理解するのは論理必然的。まずは受験者の気持ちを確かめたいということでしょう。

☆受験生が4科目を学んで来るということは、学びに対する姿勢や行動、構えの熟練の準備がされて入学してくるということです。八雲学園の数学の教師陣は、日ごろから「公式をあてはめて解答を出すのが数学ではない。いろいろなアプローチ、考え方ができるというのが数学思考の醍醐味なんですね。この数学思考の体験を積んでいくのが学びの目標です。」と語っています。

☆このような数学思考は、発想重視型を示唆しています。発想とは思いつきではないのですね。熟練の中で、あっと気づく瞬間です。いろいろな型を身につけなければ、新たな型にいきつかないということでしょう。

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