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09年中学入試に向けて[58]なぜ白梅学園清修が気になるのか

☆東京株式市場のみならず世界の金融市場は、激しい乱下降に見舞われています。今回の下降はいつ止まるともしれないほど長く続いています。こんな時代を生き抜くにはどうしたらよいのか?

☆金融アナリストや評論家から、まずはしっかりとした教育を子どもに提供し、実力を付けておくことなどという声が聞こえてきます。しかし、この状況を招いたのも今の教育システムが輩出した人材の頭脳だろうとすぐに矛盾にぶち当たります。

☆じゃあ、そうではない新しい夢の教育を創り上げている場所はどこなのか?そういう問いがすぐにも生まれてきます。私が白梅学園清修の動向に興味と関心があるのは、その新しい夢の教育を創り上げようとしている新しい学校の1つだからです。

☆首都圏、特に東京エリアは、私立中高一貫校が他県に比べたいへん多く、ある意味教育のディズニーランドです。そんな中でいくつも新しい学校が誕生し、新たな夢に向かって教育の建築をしているのです。

☆新しい夢の教育。それはある一つの偏った考え方を、批判的思考でチェックすることなく受け入れてきた従来の教育とは真逆なんですね。キリスト教系の学校や仏教主義の学校は、普遍的な考え方を理念として持っています。あまりに普遍的ですから批判的にチェックしようなどという生徒はあまりいないでしょう。しかし、これが意外と学校当局が想像もしないような方向性に育っていく人材を生み出してしまうこともあります。

☆宗教に反発して逃走すると自分のよりどころは価値相対主義になってしまいます。その生き方は結局は格差社会の中で勝ち組になるか否かという志向性をもってしまいがちです。

☆一つの理念あるいは価値相対主義をも批判的に検討吟味できる思考力が必要とされているのが今の時代です。格差社会に動じずサバイバルできる力がポイントということでしょう。こんなサバイバル能力を身につけられる学校があったとしたら、それは夢の学校です。いつも引き合いに出す東浩紀さんのポストモダン批判ではないですが、自分の興味と関心圏内でしか生きていけない人間たちがあふれた社会の将来はあまり明るいとはいえません。いつどうなるかわからない不安の渦の中で、それを解決しようとせずに、自分のシェルターに逃げ込んでしまうという事態はどうなのでしょうか。

☆自滅のベクトルしか残らないではないですか。そうはなっては困る。政治は政治の役割があるでしょうし、経済には経済の役割があるでしょう。学問には学問の。夢の教育には子供一人ひとりに、自分と社会や世界を思いめぐいらしながら批判しながら、最善の人間関係や社会を形作れる能力を鍛えるシステム作りの使命があると思います。

☆しかし、それは言うは易く行うは難し。1人ひとりに合ったコミュニケーションをとりながら、普遍的なクリエイティブなコミュニケーションシステムを形作っていくのですが、それは気が遠くなるような日々の対話の積み重ねが大事です。この積み重ねのプロセスこそ夢の教育を実現するマニュアルです。

☆このマニュアルを見たことがある人がいるでしょうか。一人ひとりの貴重な体験や経験を聞くことはできるでしょう。しかし、一日その人の話を聞いても、ダイジェスト版でしかありません。

☆ところが白梅学園清修の場合は、この日々更新されるマニュアルを公開しているのです。生徒と教師と保護者と形成しているというか格闘しているというか、ともかくそのプロセスをオープンにし、共有し、議論し合い豊かに育てているわけです。

☆それを日々ブログで世界中の人が見ることができるのです。ここ数日のブログの内容も、感動的です。生徒や保護者が不安になれば、教師がケアし、教師が不安を抱けば、生徒や保護者がサポートしているのです。不安は自分では解消できないのですね。それは相互に支え合うことによってのみ解消できる。そして、それを瞬時に200人の集団が日々やってのけられるには、メディアシステムの構築がポイントだったのです。

☆こんな新しいメディアを作っている学校は他にあるでしょうか。今後ますます注目されるようになっていくでしょう。夢の学校づくりのマニュアルデータベース「緑清春深」は教育の重要なリソースになることでしょう。

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