09年中学入試に向けて[65]東京女子学園の内生的成長続く[02]
☆「09年中学入試に向けて[63]東京女子学園の内生的成長続く[01] 」のつづきです。東京女子学園の教育プログラムは多様で多角的で、生徒が複眼的に考えることができる環境を設定しています。
☆多様で多角的というと、とにかくたくさんのオプション・プログラムが整理されずに、ごちゃっとあるようなイメージをもたれるかもしれませんが、それはまったく違います。6年間一貫教育の時間という要素と生徒の成長する心理システムの結合が最適化されています。
☆中1・中2のクラス編成→中3のクラス編成→高校のクラス編成という2・1・3の変化を構成しています。このクラス編成の変化に合わせて、教科学習・補習・講習・国際教育・ライフプランニング・部活・イベントが組み立てられているのです。
☆1つひとつのプログラムは、それぞれの学力向上の目標があるのですが、その目標が6年間の成長の変化に結びついてつくられるわけです。サッカーのゴールキーパーは、ゴールさせないことが目的ですが、全体の目標はフェアプレイの精神で勝利することです。
☆しかし、キーパーにとってまずは目の前のボールをはねのけることです。迫りくるボールを見ながら、全体の目標は考えないでしょう。しかし、その行動は全体につながっています。
☆東京女子学園の教育プログラムもこのように全体と部分が有機的につながっているわけです。その仕掛けとして、中1・2のときは通常のクラスをベースに、補講としてのアドバンスクラスと補習としてのサプリクラスを設定しています。この2つのクラスは柔軟な組み換えが可能です。さらに英語・数学に関しては習熟度別授業をやっていくわけです。
☆科目や分野によって、それぞれの生徒の理解は広がりや深さが違います。その違いに合わせて、クラスを柔軟に変えていくのです。これはモチベーションアップと持続にたいへんよい影響を与えているようです。思春期に突入する時期に、スモールステップで、一人ひとりの理解の幅・深さに合わせて学ぶ環境は、教師と生徒、生徒同士が相互に理解を支援する心理システムが生まれるからです。
☆もしその理解の幅・深さの差異を無視して、同じクラスで中1・中2を過ごすと、競争が生まれ、格差が明確になります。おそらく思春期の時期にそのような目に見えない抑圧の雰囲気があると、自己実現へのモチベーションは萎えるでしょう。1つの学力スコア・モノサシで評価するのではなく、生徒一人ひとりの理解の特徴を見い出し、それに合わせた学びの環境をつくっているのではないでしょうか。
☆中3になると、アドバンスクラスは、特別選抜クラスとして通常クラスの1つという位置づけにシフトします。この段階では、キャリア・デザインのプログラムも重ね合わされます。自分の将来へ向けて、コースを選ぶ準備の時期です。
☆目の前の大学という現実と自分の自己実現のためのスキルを区別できる準備です。大事なのは偏差値の高い大学を選ぶのでもブランドで大学を選ぶことでもありません。また日本の大学でなければならない理由もありません。そのような発想で大学に入るための準備をするのではなく、自己実現のために学力を身につける、サバイバルスキルを身につけるという時期なのです。
☆自分の自己実現のためにこの大学を選択するという広い視野で考えるようになると、ガゼン意欲は燃え上がります。
☆こうして高校生からはやくも進路に向けてまっしぐらです。とりあえず大学に行ってからという考え方もあるでしょうが、自己を見つめ、他者とかかわり、自分の社会での役割を見出すところからスタートするのが東京女子学園の教育プログラムの特徴で、ライフプランニングというサポート体制がある理由もそこにあるのでしょう。
☆さて、高2・高3は、自己実現という夢と理想に向かって、奮闘努力するわけですが、つねに現実とのギャップが生まれるというのが、人生です。そのギャップをいかに乗り越えるか。自己責任で乗り越えるというのも大事です。自律した人間の当然の行為です。しかし、支えながら生きていくというのも自律した人間のもう1つの姿勢です。
☆東京女子学園は、高2・高3から大学受験の専門家と連携して大学合格のための環境を整えます。これが新たな外部ネットワークを結びつける戦略です。進路選択・進路指導に加えて合格するためのスキルまでサポートするという理想と現実をいかに一致させるかという課題を、生徒とともに考えていく体制をスタートさせます。
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