09年中学入試に向けて[73]白梅学園清修 はじめての文化祭[03]
☆「09年中学入試に向けて[67]白梅学園清修 はじめての文化祭[02]」のつづきです。教育の質の指標クオリティスコアを決める12の項目のうち、(3) 時代の変化への対応力、(4) 本格的論文編集指導力、(5) プログレッシブな授業構築力が、白梅学園清修のはじめての文化祭「清修フェスタ」でどう表れていたかについて紹介しましょう。
☆(3) 時代の変化への対応力は、在校生が各教室に設置してあるICTのツールである電子ボードを駆使してプレゼンしている姿に端的に表れていると思います。ただし、そういうツールがあることが時代の変化への対応力ということではないのです。
☆時代の変化というのは、論理優先からアートやデザイン重視への時代。ハイタッチ優先の時代、右脳のルネサンス、コミュニケーションの時代、自然と精神と社会のクロスカリキュラムの時代、リアルスペースとサイバースペースの活用の最適化・・・といった変化に学校が、きちんと戦略的にかつ危機管理を考えて、学校一丸となって取り組んでいイケてるかとうことです。
☆いつもの清修のように、目配り・気配り・アイコンタクトの利いたおもてなしが教職員そして生徒によってなされていました。中3のパフォーマンス「犯人を探せ」は、まさにおもてなしですよね。それぞれの企画が各教室で行われている最中に、回廊を歩きながら来訪者に、「さあいっしょに犯人をさがしましょうよ」と、さまざまなかわいらしい衣裳をまといながら練り歩いていました。
☆もてなし=寛容、練り歩き=アテンション=気づき=覚醒、声掛け=コミュニケーション=ハイタッチ、衣裳=センス=デザイン、推理=論理=知性、ペアで練り歩く=チームワーク・・・。そういうものが統合されていた企画でした。
☆(4) 本格的論文編集指導力については、すべてのプレゼンテーションの企画に表現されていました。しかし、じっくりみるには、展示されていた社会科など教科のレポートです。たとえば、「ハロウィン」について興味を持った生徒のレポートがありました。
☆たしかに、マチに出れば、ショップは、ハロウィングッズで溢れています。不思議ですよね。カボチャやクロネコなどはみなお化けなんですから。とここが大事です。なんで「お化け」なのか?アメリカではキリスト教のイベントですよ。
☆ところが調べていくと、ケルト文化とキリスト教の文化的相克と異文化理解の長く深い歴史があるということなんですね。そして島根県松江。小泉八雲が暮らした都市です。日本の面影を大切にし、おもてなし文化のシンボル大名庭園を愛し、日本の昔話・怪談について本を書いています。この怪談とゲゲの鬼太郎とケルトの魔法使いが、人間の目に見えないものを大切にする心性につながっていく・・・。
☆日本の近代化、開発産業への警鐘ですよ、これは。デイル・パネルは、90年代アメリカのキャリア・デザインプログラムや新しい学習理論を提唱し・影響を与えましたが、もしデイル・パネルが白梅学園清修の生徒の学びの姿を見たら、これぞ“文脈学習”だと驚愕したことでしょう。
☆(5) プログレッシブな授業構築力は、(4)と(5)の説明で十分証明されたと思いますが、一つだけ付け加えておくとすると、それは各教科の専門性の高い授業を行っていながら、教科連動型の授業になっているということです。英語の授業は、大学受験にも大いに役立つのですが、英国研修の報告発表会に表れているように、歴史、経済、文化を包括できる視点を養っています。それは社会科にもつながるし、国語科にもつながるというのは想像するに難くないでしょう。
☆プログレッシブとはタコツボ型知を脱し、連動する、横断する、といった知の勢いのことを私は意味しています。ロジック、パッション、ロゴス、アガペー・・・そういったものが知の塊となり、勢いを感じさせる学校が白梅学園清修かなと、思っています。
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