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09年中学入試に向けて[75]かえつ有明 3年めの文化祭[01]

☆この土日(2008年10月25・26日)に、かえつ有明は、「文化フェスタ2008」を開催しました。校名変更・校舎移転・共学化などの大改革をして3年目を迎え、中1から高3まで全学年が共学になって、はじめての文化祭です。

☆新校舎のコンセプトはエコスクールだからというわけではないでしょうが、まずは自らの学校から21世紀の世界問題である環境問題を解決しようと、テーマは「ECO」です。学校全体で「かえつECO宣言」を発信しました。

☆このエコスクールは、エコのための様々な機能を有していますが、なんといっても抽象的な大名庭園型の空間になっているのがすごいですね。大名庭園は、京都の庭園とは違い、観賞用あるいは瞑想用の目的に限られるのではありません。江戸時代、茶会や園遊会、歌詠みの会場として実用的につくられていたようです。

☆参勤交代の制度があったため、江戸の町は、各藩の大名屋敷でひしめき合っていたわけですが、各屋敷ごとに大小様々な大名庭園の趣向が凝らされていたようです。江戸の町並みは、水上の町だったし、大名庭園の緑が豊かだったわけです。開国して以来、欧米人が続々訪れて、ユートピアだと口々に感嘆の息をもらしていたらしいですね。

☆かえつ有明は新生したわけですが、創設時の≪私学の系譜≫の文化をそのまま受け継いでいるのが、この新しい教育空間からもわかるのです。そして江戸の街づくりと言えば、エコですから、「かえつECO宣言」というのは非常に感慨深いですね。

☆さて、かえつ有明の大名庭園的空間はどこにあるかというと、それは2階にある空中回廊に象徴されています。大名庭園の多くは回廊式で、真中に池が大海原を模して設けられています。しかし、浜離宮(かつては芝離宮もそうでした。今は埋め立てられているのでその面影がありませんが)のように池が東京湾につながっている形式のものもありますから、かえつ有明の場合は、まさに東京湾に続く位置にあるわけです。

☆それにしても回廊式というのは大事なポイントなのです。思索と詩作という知と芸術の生まれる空間なんですね。何気ないけれど、そういう仕掛けが校舎にはあるのです。今まで説明会などに何度か訪問しているのに、そのことに気づきませんでした。しかし、今回はじめて文化祭に訪れて、そのことに気づいたのです。

☆昼間に銀閣寺に行っても、月とつながるための仕掛けがあるのに気づかないのとちょっと似た感覚を抱きました。文化祭の時は、同じ時間にすべての空間が使われているのと、回廊を散策すると、それが五感にいっぺんに飛び込んでくるので、大名庭園的発想が伝わってくるのです。

Photo ☆回廊を歩くと、生徒たちがテニスをやっている様子やダンスのパフォーマンスが一望できます。またサッカー場を右手に、ピロティ風の校舎に囲まれた広場を左手に見下ろしながら歩いていくとそこには和室があるんですね。和室ではお茶会と琴の調べが催されていました。生徒たちの静と動の活動を生み出す空間構造になっているのです。

Photo_2 ☆そしてその静と動の空間を通って、校舎に入っていくと、生徒たちの日頃の創作活動の成果が展示されたりプレゼンテーションされたりしているわけです。かえつ有明の知の構造のギャラリーが、校舎の外側と内側で造られるように設計されているところがエコスクールの面目躍如です。

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