15歳問題[04]問題の周辺④
☆「15歳問題[03]問題の周辺③ 」のつづき。小中学校で、子どもたちは思考のレベル3という教科型知と「きっちりO型」に閉じ込められるか、レベル3と「のびのびO型」に追いやられるかどちらかのケースになるというのが80%だろう。これが15歳以降進路選択という圧力の中で、先鋭化する。「15歳問題」の基本枠組みである。
☆さらにこの{レベル3,きっちりO型}と{レベル3,のびのびO型}は、IQの境界線区分に閉じ込められる。実は思考のレベル0から6というのは、IQでは85以上の話なのである。
☆IQが70以上85未満は境界知の発達障害の領域で、70以下は発達障害とみなされる領域である。IQ85以上の領域は、ふだんは偏差値や成績のスコアに置き換えられているから、このIQの境界線は目に見えないのである。
☆OECD/PISAなどで最重視し始めた形成的アセスメントは、このIQの境界線を取っ払う試みである。
☆一方従来の結果重視の総括的アセスメントは子どもたちをIQによるカテゴリーわけをしている評価なのである。目に見えない知の階層構造が教育によって再生産されていたわけだ。
☆この知の階層構造が政治権力構造や経済格差にシフトするシステムが学歴社会のシステムである。≪官学の系譜≫ががんばればがんばるほどこのような格差社会は強化されるという官僚近代教育のパラドックスがここにある。
☆このことに感覚的に気づくアンテナ、知的に反発しようとする頭脳が明確にうごめきだすのが「15歳問題」である。しかし、彼らは思考のレベル4~6までのトレーニングを積んで、熟練する機会を奪われている。彼らのストレスは問題解決という言動にシフトせず、多様な問題を引き起こしたり、心的症候群に転移していく割合が小中時代よりも増えていくのだ。
☆このような問題が表面化してきたし、世界の動きは知のフラット化。なんとかしなければと2006年に教育基本法を改正し、昨年07年は「特別支援教育元年」が実施された。ここにもジレンマが横たわる。発達障害の子どもにとって、この政策はないよりましなのかもしれないが、境界線を明確に引かれカテゴリーわけされる結果を強化してしまいかねない。新たな不安が生まれてくる。
☆社会が作ってしまう複雑な壁。この壁が格差を生み、階層を生む。社会に同化するとは、同調圧力を受け入れ、この差を強化するというパラドクスを生み出す。このパラドクスを解くには、知の構造を変える必要がある。そのイメージを図にしてみた。知の構造はフラット化することは可能である。
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