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09年中学入試に向けて[102] 東邦大東邦の使命

☆2009年の千葉エリアの中学受験において、渋谷幕張、東邦大東邦、市川、芝浦工大柏、昭和秀英の受験者数は、相変わらず多くなるだろう。サンデーショックなのかサンデーハッピーなのかは、どちらでもよいが、例年に比べ不確実な要素が働くから、東京・神奈川エリアの受験生は、1月中に受験してリスクヘッジしようとする流れが高まるからである。

☆それに、上記5校は、神奈川エリアの私学に比べれば、教育のプログラムの見える化という点でしっかりしているのではないかという感覚が、受験生に生まれている可能性がある。そういう意味で、渋谷幕張や芝浦工大柏のような私学に対抗できるのは、神奈川エリアでいえば、桐光学園、逗子開成、神奈川学園、神奈川大附属ぐらいかもしれない。

☆教育の質という点では、神奈川エリアにも優れた学校はたくさんある。栄光、武相、横須賀学院、フェリス、湘南白百合、・・・、数えきれないだろう。もちろん東京エリアもそうだ。しかし、インフラと教育プログラムを見える化までしているとなると、市川のような新校舎にはかなわないだろう。

☆そんな中で東邦大東邦は理系に70%進学するし、特に医歯薬系が多く、ともかく大学実績は良好だ。受験生が多く集まるのは、普通に考えて当然である。だからこそ、東邦大東邦には責任・使命があるのだ。

☆東邦大東邦は、私学でありながら、≪私学の系譜≫の立場に立つかどうか、自覚がない可能性がある。確かに、「自然・生命・人間」の最適化を目指す、科学的ものの見方=理性を重視し、リベラルアーツのプログラムも見える化している。

☆そして理系や医歯薬系に進む優秀な生徒を輩出している。しかし、「自然・社会・人間」を理性と感性を通して統合的に見ようとしているかどうかは、わからない。もしかしたら、近代日本のダーウィニズム的進化論のパラダイムをベースにしているかもしれない。

☆もしそうだとすると、理系に対する概念が、20世紀型工業社会を支える考え方に偏っている。優勝劣敗システムを肯定したうえで、そこで私学教育を行っている可能性がある。地方の医者不足や小児科の減少が問題になって久しい。実際東邦大医学部でも同じような傾向にあるのではないだろうか。

☆これは医者になる人材が「自然・生命・人間」に対する倫理観は持ちえても、「社会」に対しての倫理観は、後回しになっている可能性があるから起こる。もちろん、ことは東邦大東邦だけの問題ではない。しかし、だからこそ期待がかかるのである。

☆フェリスで学び、お茶の水の国文に進んだ学生が、大学3年の時に、中高時代学んだ“man for others”の精神に突き動かされて、看護に進路を切り換えたという話を聞いた。フェリス出身者らしいと感じた。

☆東邦大東邦には、はじめから医者になりたいという進路希望を抱いている生徒がたくさん入ってくるはずだ。社会科学と自然科学を横断できる知性。感性より理性を重視する20世紀型科学主義を克服できるマインドが育つ環境を創り続けることを期待したい。全く余計なお世話だが・・・。

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