09年中学入試に向けて[92]海城学園 教師の探究ワークショップ
☆先月、10月9日(木)・10日(金)、海城学園は、イッセー尾形さんの一人芝居の演出で有名な演出家の森田雄三氏を招いて、教員向けWS(ワーク・ショップ)を行った。両日ともイッセー尾形さんと山梨大学の須貝千里教授も参加して、充実したWSになったようだ。
☆その様子は、海城プレス「森田雄三氏教員向けWS(ワーク・ショップ)」の記事に掲載されているので、ご覧あれ。
☆先生方が、心を閉ざした息子と父親に扮して、ドラマによるロールプレイなどが行われたようだ。これは極端なケースを扱った方が、わかりやすいということもあるのだろうが、心を閉ざすという心的状況は、日常会話の随所で現れている。
☆その度に、互いに配慮し、心と心を結びつける壊れやすい絆を保守しているというのが会話の得がたい認識と実践と存在のバランスである。
☆しかし、教師と生徒の対話は、ともすればこの壊れやすい絆の繊細な努力を無視してしまいがちだ。家族と暮らすより、学校の時間の方が長いかもしれない。毎日のように顔を合わし、いっしょにいるのだ。絆を保守する努力を忘れるのも無理はない。忘れるとどうなるか。バランスをとることはなくなり、絆を保守する作用はフリーズし、関係は砕け散る。
☆だからこそ、意識的に自覚的に、絆の壊れやすさとその保守のバランスを取るプログラムをやり続けなければならない。面談やガイダンス、講演会、校外での特別活動・・・。しかし、どこの私立学校もやりつくしている。ルーチン化が生まれている。
☆海城学園はそのリスクを感じるセンサーの持ち主がたくさんいるようだ。常に新しいプログラム。他校にはないプログラム。この探究力はなかなか真似できない。
☆ゆえに、今回は、イッセー尾形さんの一人芝居を見学するプログラムでも、講演を聴くプログラムでもない。イッセイー尾形さんとともにドラマを演ずるプログラムなのだ。その場にいたわけではないから、理屈っぽくしか語れないが、言葉と表情と行為と心的作用の微妙な響きあい。これしか対話の極意はないだろう。
☆そういう意味で、海城学園の教師は、対話の達人の道を歩んでいる。
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