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09年中学入試に向けて[96] 桜蔭 無色のエリート養成所[02]

☆「09年中学入試に向けて[95] 桜蔭 無色のエリート養成所」のつづき。桜蔭はなぜ無色のエリートを輩出するのだろうか。その答えは、膳校長に聞く以外に術はないが、歴史的な意味から予想することはできる。

☆同校の誕生した時代は、大正デモクラシーの時代。吉野作造や内村鑑三の輝かしい活動の時代でもあり、そのつどある一定の成果をあげていた。しかし、女性の解放運動は、戦後になるまで婦人参政権が認められなかったわけだから、忍従極まりない時代であったことに変わりはない。

☆そんな中で、①男性中心社会で、男性と競ってエリートのポジショニングをゲットするのか、②我が道を進み、競わずして圧倒するのか、③新しい社会を目指して改革的エリートになるのか。

☆おそらく、①は、当時の女性にとっては、大変な努力が強いられ、成功者はまれだっただろう。③は当時であれば、それは共産党への道を意味する時代であったから、学校全体として目指す道ではなかったはずだ。すると②の道以外にない。男性中心社会のどす黒い色にも、マルキスト的な赤色にも生徒を染めるわけにいかなかったのである。

☆だから、虐げられた女性を守り、できれば解放するために準備とタイミングを待つ無色のエリートを輩出しようとしたのではないだろうか。心の花と愛の泉を枯らさない戦略をとってきたのであろう。

☆それが色を学校側がつけない教育システムを作り上げたのではないだろうか。色をつけない。のびのび明るいという透明感の持続可能性。そのための教育言説。人口に膾炙した普通の教育を表現する言葉を選択することは、その言葉にイデオロギー的には反応しないという結果をもたらしたのではないか。多感な中高の6年間。化石化された言葉に生徒は反応しない。

☆それが実は最も先進的な教育システムになったのではないだろうか。というのも、ナノの物質を作る方法は、トップダウン的に大きな物質を削っていく方法と、ボトムアップ的に化学反応を起こして作っていく方法があるというが、ボトムアップ型の教育システムができあがっているからである。

☆入学時に多くの才能豊かな子どもがはいってくれば、あとは相互に影響を与えて、ボトムアップ的にエリートが輩出されるのではないだろうか。ぜひ調べなければならないが、桜蔭の意図と中学受験マーケットがいつからマッチングしたのだろうか。ある時期に桜蔭のポジションニングが決まり、それを促進するように塾がマーケットを進化させるようになったのだろうか。それとも、マーケットが桜蔭を押し上げたのか。

☆いずれにしても、現在は、恒常的に優秀な生徒、しかも柔軟な生徒が入学してくる優れた入試問題が作成されていることは確かだ。桜蔭のような入試問題を1つの目標として勉強する小学校生は、世界標準の知そのものに体当たりできる幸運に遭遇しているはずである。

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