時代が求める学校[03] 聖学院<02> 入試問題は学校の顔
「時代が求める学校[01] 聖学院<01> 入試問題は学校の顔」のつづき。
☆国語科の入試問題の傾向の説明は、含蓄があった。出題の範囲というかカテゴリーについては過去問を見ればすぐにわかる説明。重要な点は、出題する文章には聖学院の国語科としてのメッセージがこめられているという指摘だ。
☆たとえば、2008年の一回目の国語では、カメラマン石川文洋さんの文章が掲載されている。戦争と平和をテーマにしている作家である。出題文章の作家選択にもメッセージが込められている。
☆しかし、さらに大事なのは、言葉の差異に気づけるかという点である。良い写真と上手な写真とは違うという気づき。これは外延的な意味の差異だ。ところが内包的な意味の差異。良い写真とは何か。つまり「良い」という意味の差異。
☆意味の立体的な仕掛けに気づくかどうか。これは、聖学院の6年間のあらゆる学びの中で、常に考える基本的視点である。
☆その基本的視点を持てるかどうかは、独りよがりではなく「第三者の眼」である。記述の際に客観性を大事にして欲しいというアドバイスに重なるが、それが良き写真であるための条件の一つだと石川さんが語っているのだ。写真を撮る行為と書く行為は同じ視角を共有しているというわけだ。
☆説明会当日は、受験生も参加していたが、彼らはこういうことを理解して入学していくのである。聖学院の学びは、入学試験準備の段階からすでに始まっている。
☆数学科の説明で印象的なのは、数学の基礎は算数だという点と書き出し問題を大事にしてほしいという点だ。計算などが基礎だといのはすぐにわかるだろうが、たとえば面積を求める問題は実におもしろい。直角三角形と三辺を直径とした円の関係から面積を求める問題だが、入学して三平方の定理を学ぶと、与えられた三角形の面積を求めればそれで終了という感動的な解き方ができる問題が出題されている。
☆書き出しの問題とは、場合の数の問題が典型だろうが、公式で解くのではなく、実際に樹形図などを書いて、そこから法則を理解するというものだろう。帰納的な思考法は数学だけではなく、思考それ自体にとっても基礎である。
☆社会科のポイントも過去問を見ればわかるのだが、その中で感動的な指摘は、聖学院103年の歴史的背景を学んでおくことの重要性。どういう時代の流れの中に聖学院があったのかは、時代認識を大切にしている聖学院らしい指摘だ。聖学院の教育はそのつど時代を確認し、生き方を選択してきたのだから。それと参考書を使うのなら、奥付を見て、できるだけ新しく出版されているのを選んで欲しいというのも大事なポイント。資料やデータを扱うときの基本的条件でもある。
☆理科も出題分野の詳しい説明も受験生にとっては魅力的だったと思う。そして何よりも、実験・観察・論理をベースにして問題作りをしているという指摘は、聖学院の基本的な科学観でもある。
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