09年クオリティスクールを求めて 02
「09年クオリティスクールを求めて」のつづき。
☆「自己実現プログラム」といった場合、オプション的なプログラムのことを意味しているのではない。6年間一貫の教育全体に影響を与えているプログラムのことを指している。
☆私学の場合は、教科学習、行事、部活、キャリアデザイン、独自のプログラムがたくさんある。それぞれ教師ががんばっていて、コミュニケーションが充実している。しかし、この段階では自己実現プログラムに発展していない。それぞれがシステム化され、そのシステム自体そのつど振り返りがなされ、改善されている必要がある。
☆さらに、このそれぞれのシステムが連動している必要がある。ここまできて「自己実現プログラム」がやっと見えてくる。あとは組織としてその「自己実現プログラム」を積極的に肯定的にマネジメントしているかどうか。
☆たとえば、麻布の場合、各授業のコミュニケーション―システムが成立しているし、本格的な論文編集指導もシステム化している。このシステムは当然、行事や部活とも連動し、新しいリベラルアーツの講座づくりのベースにもなっている。このシステムを持続可能にするために、組織としては、毎年「論集」という学校全体の表現の取り組みの集大成を編集している。麻布の教育全体が、生徒にとって「自己実現プログラム」として機能しているのである。
☆開成の場合は、それぞれの教師のコミュニケーションは、一見システム化されていないが、それは相対的に自立しつつも、実はシステム化されている。授業を中心に、すべての生徒がある高い水準の学びができるように調整されている。夏期講習はそれを調整する大きな役割を果たしている。またOBの講演など、優れたロールモデルとのコミュニケーション―システムは、ある意味ミッションという形で、運動会や部活などの教育活動に浸透していく。
☆また、校長―教頭―委員長といった組織も、教頭以下は教師が順番で行っていくという民主的組織。ここでもすべてのメンバーがリーダーシップを発揮するように機能している。やはり、教育全体が、「自己実現プログラム」なのである。
☆武相の場合は、オプションのプログラムがたくさんある。「体験―探究―議論―編集―発表」というサイクルがベース。しかし、それはオプションで終わらない。このような探究・思考を特別な形でトレーニングすることによって、授業、行事、部活に生かしていくことがその目的。教師のコミュニケーションは、1クラス25名というシステムによって、豊かに学校全体に広がっているし、この中学3年間1クラス25名体制は、組織が経営しなければ持続可能ではない。やはり武相の教育全体が「自己実現プログラム」として見える化され、自覚的に実践されている。
☆前回「自己実現プログラムを自覚的に実行」しているアイテムのスコア4以上の男子校をリストアップしたが、いずれも、コミュニケーション―システム―組織がうまく連動している。このアイテムのスコアが4以上の女子校、共学校のリストは次の通り。
<女子校>
聖園女学院中学校
女子学院中学校
共立女子中学校
白梅学園清修中学校
鴎友学園女子中学校
洗足学園中学校
湘南白百合学園中学校
晃華学園中学校
女子聖学院中学校
神奈川学園中学校
東京純心女子中学校
八雲学園中学校
桐光学園中学校女子部
立教女学院中学校
カリタス女子中学校
田園調布学園中等部
聖セシリア女子中学校
フェリス女学院中学校
東京女子学園中学校
桐朋女子中学校
横浜女学院中学校
恵泉女学園中学校
品川女子学院中等部
玉川聖学院中等部
都市大等々力
富士見丘中学校(東京・笹塚)
函嶺白百合学園中学校
女子美術大学付属中学校
武蔵野女子学院中学校
聖ドミニコ学園中学校
トキワ松学園中学校<共学校>
渋谷教育学園幕張中学校
慶應義塾中等部
慶應義塾湘南藤沢中等部
早稲田実業学校中等部
渋谷教育学園渋谷中学校
公文国際学園中等部
江戸川学園取手中学校
神奈川大学附属中学校
学芸大附属国際中等教育学校
芝浦工業大学柏中学校
宝仙学園中学校共学部理数インター
東大附属中等教育学校
かえつ有明中学
桜美林中学校
淑徳巣鴨中学校
横須賀学院中学校
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