09年クオリティスクールを求めて 04 イノベーション
「09年クオリティスクールを求めて 03」のつづき
☆クオリティスコアを算出するための12のアイテムのうち、3番目「時代の変化への対応力」のスコア4以上の学校をリストアップしてみる。
☆「時代の変化への対応力」とは、要するに「不易流行」の「流行」の部分の度合の問題である。歴史ある私立学校にとって、教育理念を実践してきたシステムを保守することは重要であるが、新しい考え方や感じ方を、教育理念に基づいてどのように受け入れていくのか、変えるものは変え、変えるべきでないものは変えないという選択判断がきちんととれる組織であるかどうかは重要な学校選択ポイントだろう。
☆特にこの10年間は、社会や時代の変化には目を見張るものがあるだろう。イノベーションは避けられない。
☆最近は、大学進学実績や偏差値だけで学校を選ぶ時代ではないと言われながら、なぜなのかという点については、偏差値の高い大学をでたからといって、大企業に就職できるわけではないとか、偏差値が高くても人間力はまた別だとか言われる。しかし、それはまだ成果主義の社会の枠組みの中で考えている。
☆つまり、私学人内村鑑三のように、成功主義ではなく、誠実主義の枠組みで考えているわけではない。内村鑑三の言う、誠実主義は受験市場ではなく私学市場で考えよというように置き換えることができる。受験市場は勝ち組負け組の枠組み。私学市場は信頼の枠組み。
☆近代社会は、市場の枠組みを導入せざるを得ない。しかし、それは常に優勝劣敗というリスクを抱えている。これでは、カントの言う経済によって平和をもたらそうという発想とは真逆になってしまう。経済とは本来信頼というライフラインを形成することだ。
☆イノベーションとは、このリスクマネジメントの方法論やツールである。受験市場では、中学受験とういうのは投資とか消費なんだと言われてきた。しかし、私学市場では、中学受験はリスクマネージメントのためのアクションである。
☆実際、時代は金融危機を迎え、世界同時的に金利ゼロの方向に動いた。イスラムだけではなく、キリスト教ももともとは利息というものに関して寛容ではなかった。今回の出来事は、宗教倫理による規制ではなく、利益市場から私学市場にシフトする市場のイノベーションが働いたわけだ。
☆そういうイノベーションを私立学校が、どの程度行っているのか。教師一人ひとりのコミュニケーションベース段階であれば、アイテムスコアは3。コアメンバーによってシステム化されていれば4。学校全体が組織として取り組んでいればスコアは5である。それでは、リストを列挙する。
<男子校>
麻布中学校
慶應義塾普通部
開成中学校
武蔵中学校
海城中学校
芝浦工業大学中学校
聖学院中学校
武相中学校
桐光学園中学校男子部
<女子校>
東京女子学園中学校
富士見丘中学校
共立女子中学校
白梅学園清修中学校
鴎友学園女子中学校
洗足学園中学校
晃華学園中学校
神奈川学園中学校
八雲学園中学校
カリタス女子中学校
品川女子学院中等部
東京女学館中学校
中村中学校
小野学園女子中学校
横浜山手女子中学校
都市大等々力
桐光学園中学校女子部
<共学校>
慶應義塾湘南藤沢中等部
芝浦工業大学柏中学校
かえつ有明中学
江戸川学園取手中学校
山手学院中学校
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