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09年クオリティスクールを求めて

☆今回の金融危機は、動物化したポストモダン、不透明な時代、価値相対主義の時代、大きな物語の喪失時代、不確実な時代などと呼ばれている現在の政治・経済・文化の流れの必然的な結果だと思う。

☆この流れの大局は明治以来変わっていないという認識に立って、この流れをなんとかしようとし続けているのが≪私学の系譜≫であると考えている。

☆この≪私学の系譜≫にしっかり位置している私立学校のことをクオリティスクール(エクセレントスクールも含む広い意味で使ったり、偏差値50以上で分ける場合もある。座標は分けて使っている)と呼んでいる。

☆12のアイテムを1つひとつ5段階でつけていって、平均を算出したものをクオリティスコアと呼んでいる。そして、そのクオリティスコア2.8以上ある学校をクオリティスクールとしている。12のアイテムとは、

(1) 自己実現プログラムの自覚的実行力

(2) 教師の創造的コミュニケーション能力

(3) 時代の変化への対応力

(4) 本格的論文編集指導力

(5) プログレッシブな授業構築力

(6) 総合学習と他の教育活動の有機的結合力

(7) 現地校で耐えられる英語教育力

(8) あらゆる教育活動でのIT活用力

(9) 他教科に刺激を与える芸術教育力

(10) キャリア・デザインとしての進路指導力

(11) 生徒の潜在能力を引き出す教育空間デザイン力

(12) 説明会の表現力(教育理念の具体的展開のプレゼン)

☆クオリティスコアは、毎年若干変化する。2009年のクオリティスコア算出のために、12のアイテム1つひとつ振り返る時期がやってきたので、少しずつ検討していきたい。

☆(1)の「自己実現プログラムの自覚的実行力」についてであるが、「自覚的」とは、今流で言えば「見える化」に置き換えた方がわかりやすいかもしれない。生徒が成長する機会は、教科の授業、部活、行事であるが、その三者が横断的につながり、シナジー効果を生み出すには、生徒だけの問題ではなく、教師が意図しなければならない。それには各教科の教師同士がコミュニケーションすること、授業を担当している教師と部活の顧問や行事の担当者がコラボすることなどが必要である。

☆しかし、多くの場合、そのコミュニケーションは見える化されていない。そのため、ここの質が劣化するリスクがある。このリスクマネジメントのためには、コミュニケーションを一定水準に維持するシステム化が必要である。つまりプログラム化である。

☆このプログラム化を推進するには、予算もかかるわけだし、建学の精神に適合しているかどうかチェックもする必要があるわけだから、学校組織が動かねばならない。コミュニケーションがあるだけではなく、それがシステム化され、組織が支援できる態勢になっていれば、(1)のアイテム・スコアを5とする。組織とシステムが距離がある場合、あるいは組織とシステムが未分化の場合はアイテム・スコアを4とする。

☆こうしてアイテム・スコアをつけてみて、スコアが4以上の学校はどこかといえば、男子校の場合は、次の通り。もちろん、独断と偏見ではあるが。

麻布中学校
栄光学園中学校
慶應義塾普通部
開成中学校
芝中学校
芝浦工業大学中学校
武蔵中学校
逗子開成中学校
海城中学校
駒場東邦中学校
桐光学園中学校男子部
筑波大学附属駒場中学校
聖学院中学校
早稲田中学校
暁星中学校
藤嶺学園藤沢中学校
攻玉社中学校
武相中学校
京北中学校

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