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09年中学入試に向けて[132] 首都圏中学受験志望者動向予想 15

09年中学入試に向けて[131] 首都圏中学受験志望者動向予想 14」のつづき

武相の本物の教育が注目され始めている。教育において、組織よりシステムより、何より重要なのは、コミュニケーションである。もちろん組織もシステムも大事であるが、コミュニケーション不足(あるいは押付)・組織硬直・システム強化という学校を選んだら、いかに大学進学実績や偏差値が高くても、未来は幸せかどうかは、言うまでもない。

☆武相の教育には、生徒1人ひとりが、自分の得意な技術や発想を生かせる場がある。そして、多感な思春期の中学3年間1クラス25名体制。いかにコミュニケーション・ベースなのかがよくわかる。

☆習熟度別だとかクラス別だとかいうシステムを組んでいる学校がたくさんあるが、それは1クラスが40名前後であるからである。これは、コミュニケーションをきちんと実行していくには、少人数にする工夫が必要だということを証明している。

☆武相はそこを初めから少人数クラス設定をしているのである。学園生活あらゆるシーンでコミュニケーションが十分になされるシステムなのである。コミュニケーションを補完しなければならないシステムとは違うのだ。コミュニケーションによる信頼形成以外に現代社会の新しいリスクに対応できない。

☆このことに気づいた受験生・保護者は幸せだと思う。

☆雙葉は、サンデーショックの恩恵に浴するだろう。こういう事態が受験市場を強化するという意識が女子御三家にはないのだろうか。我が道を行くことが、他者をも巻き込む。私たちは関係ないとか、塾のせいだでは、何か違うのではないかとも思う。

☆女子学院が動かないか、御三家みんなで入試日をシフトするか、どちらかにするか三者で話し合った方がよい。その点に関しては神奈川のフェリスや横浜共立、横浜雙葉は、少しだけよい。もっとも、どうせなら入試日を動かさなければよいのだが・・・。

☆普連土学園は、新渡戸稲造の精神を探究し続け、実現しているクエーカーの学校。学習指導要領の世界の動きと乖離するような動きが生み出す教育の崩壊の中で、光をともし続けられる学校の1つである。応募者は増える。

☆法政大学、法政第二は、MARCHの付属校サバイブの動きに伴って応募者は増えるだろう。しかし、問題はこれからだ。この時期経営戦略だけで動いていると2013年ごろ、この波が沈静化したときに、萎んでしまう。こんなことは経営陣には釈迦に説法。すでにNEXTステージを考えているだろう。それを早めに世に発信してくれると、私学の教育の質の市場は盛り上がるのだが。いずれにしても2013年ごろには、さすがに学習指導要領の改訂のベクトルは大きく舵を取り直すだろうし。

☆宝仙理数インターは、様々な課題を一つひとつクリアしている最中であろうが、それがすべてエネルギーになり、受験生や保護者にその熱が伝わる。応募者は順調に増えるだろう。広尾学園とは違い、システマチックな動きはしていない。あくまでコミュニケーションベースで、教員1人ひとりの気概とチームワークで動いている。そこが強みであり弱みであり、経営陣のマネジメント力が試されている学校でもある。

☆星野学園は、110年以上続いている伝統校でありながら、イノベーションを忘れていない。新設「理数選抜」は注目されているので、当然応募者は増える。

☆本郷は、校長が変わり、学校の価値観に変更があったと思う。価値観は神々の戦いだから、誰もチェックできないし、おそらく気にも留めないだろう。しかし、それは、大きな変化のトリガーである。高橋校長時代は、経済や社会学ベースのコーチングであり、教育と経済を結ぶ視点が優位だった。これは本郷が中学を開設して以来の改革だったと思う。たんに東大合格者を増やすだけではない視点が加わったのだから。

☆そして今春、北原校長が就任してからは、心理学ベースのコーチングに変化していると思う。きめ細かい生徒との対応ということで、本郷の教育の質が深まる方向に進んでいる。しかし、これは両刃の刃なのである。というのも日本の教育心理学は、公立学校向けに修正されているため、私学向けの心理学ではないからだ。

☆この差異を意識せずに心理学ベースのコミュニケーションを導入している私学は、みな弱体化している。逆にこの差異に気づいている学校は、心理学を効果的に活用してタフになっている。

聖園女学院は、来春も大人気のカトリック女子校。それだけ合格するのも難しくなってしまうのが、先生方のジレンマだろう。しかし、とにかく、どうか神奈川エリアのカトリック女子校の中で、湘南白百合とともに、いつまでも、チャレンジ精神とman for othersの精神を、浸透する純粋な実践を続けていただきたい。カトリック女子校は、経営者である修道者は、そのような気持ちを当然持ち続けているのだが、教員は必ずしもそうでないところがある。

☆それが結果的に富裕層の家庭観を擁護することになっているというカトリック精神とは真逆のことが起こることがある。富裕層の中からも社会を救済するリーダーを生むのがカトリックの使命であるが、それを忘れてしまう場合があるのだ。それは宗教法人と学校法人という違いがあるため、いかしかたがない流れであるが、聖園女学院と湘南白百合はそこが精神的に(法的には別法人であることに変わりはない)一体化しているのである。

☆カトリック学校でも、本物のカトリック学校とカトリックをブランドにしている学校との違いがある。どちらを選択するかは、選択者しだいだが、聖園女学院の応募者が増えるということは、世の中捨てたものではないという希望があることになる。ぜひ経営陣と教職員の思いがいつまでも一つであって欲しい。

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