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教育ルネサンスに見る私学の質

教育ルネサンス(読売)を読んでいていつも思うのだが、ここに書かれている教育の先進事例は、丸ごと1つの私学が実践していることばかりであるということだ。

Photo ☆いやいやすべての私学がというのではない。クオリティスクール(エクセレントスクールも含む広い意味)の場合はそうである。たとえば、10月の教育ルネサンスの特集「考える力」で、討論によって読解力を鍛えるというのがあるが、共立女子、女子聖学院、白梅学園清修、麻布など当たり前のように行っているだろう。

図工で教科横断型知性を養っているというのも、神奈川学園、鎌倉女子大、共立女子、聖学院、湘南白百合の美術がすぐに思い浮かぶ。

科学館を活用した理科の授業なんかは、多くの私学もすでにやっているが、中でもかえつ有明の「サイエンス科」の授業での活用の仕方は破格である。

☆教育ルネサンスは、読売新聞というメディアの性格上、教育に関しては公立学校のニュースが中心であるが、10%ぐらいは私立学校も取り上げる。本当は私立学校の先進事例を扱う方が、教育のヒントになるのではないかと思うが、なかなかそうはいかない。

☆そんな中で、この「考える力」の特集で、関西学院中高の司書教諭のケースが取り上げられていた。司書教諭は、教科横断的な活動がしやすいし、調べる力、論文を編集する力、なんといっても課題を発見する力をトレーニングする役割を果たせる。

☆しかし、その実態は、公立学校ではなかなか難しいはずである。教科横断という発想が難しいからだ。どうしても基礎基本としての計算力とか漢字力とかでツマズいて、その先に進めない事情があるのだ。本当は、横断的な知性の活動をしながら、計算力や漢字力をつけていけばよいのだが、現状の公立の高校入試問題が、この2つの力がまずできないとという作りになっている。もしも考え方だけ書きなさいという問題だと、授業も変わるだろうに。

☆それはともかく、司書教諭の活躍については、おそらく私立学校を例に出す以外に術がなかったのではないだろうか。

☆司書や司書教諭が大活躍している例としては、女子学院とかえつ有明もすごい。女子学院は、学校史編纂をする高い能力の司書教諭が、論文編集力を教科横断的に指導しているし、かえつ有明は図書室「ドルフィン」自体が、「サイエンス科」という総合的な知の拠点で、司書の先生のアドバイスは欠かせない。

☆開成や麻布、晃華の図書室の知のデータベース機能も大いに参考になるだろう。

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