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09年首都圏中学入試[19] 本物の私学 鴎友学園女子

☆鴎友学園女子では、創立70/75周年記念事業の一環として女子教育連続講演会「女子校の未来を拓く」が開催されている。日本の社会構造やその歴史、その中で影響を受けながら成長する子どもの学びにおける女子校の意義を問い返す営みだと思う。

☆「創造」というロゴスと実践を大切にしている鴎友学園女子らしい事業である。こういう問いかけをしていることが、生徒の進路選択に良き影響を与え、大学実績にもつながっている。

昨日16日午後6時から第3回目が開催された。今回は、同校のOG佐田智子さん(朝日新聞ジャーナリスト学校シニア研究員)の講演だった。まさに鴎友学園女子の教育が、社会の思想や文化、言動に貢献する人材を輩出していることの証明である。

☆佐田さんは、かなり早い時期に教育問題を追いかけ、教育の現場を長期間取材したようだが、その際の視点や考え方が、鴎友での6年間の女子教育に影響をうけていると、骨身にしみて感じることが多くなったのは、50歳を過ぎるころからだったということのようだ。

☆中高6年間の教育が、人生そのものに影響を与えるというのだから、学校及び教師のその責任の重さに驚愕するが、それを重荷と感じないのが、鴎友学園女子のハビトゥスだし、ミームなのである。

☆その文化遺伝子は何かというと、「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」という教育理念そのものであると改めて感じいる。当日私は参加できなかったが、清水校長に頂いた佐田さんのレジュメから想像するに、佐田さん自身は母校を次のように振り返っているのではないか。

鴎友学園女子というのは、あの時代に、一番よいものを、自由に(社会に世間に、時代にとらわれることなく、ほかにはないよいものを)女生徒たちに届けようとしたのではないでしょうか。学力を唯一の物差しにはしなかったし、多様な女の子たちが集まっていました。だから、卒業生は、みんなけっこう自分で生きているし、自分なりのやり方で働きながら、女だからとだれかに頼るというのではなく自立して生きていると思います。

☆ここで佐田さんが言う「自由」は、誠実の道を歩むことだし、創造そのものでもある。また多様性を受け入れる雰囲気は、慈愛があるからだろう。

☆リチャード・フロリダ教授が、21世紀はクリエイティブ・クラスの時代で、それを可能にするのは、3Tであると語っている。3Tとは、Tolerance(寛容)、Talent(才能)、Technology(技術)。鴎友学園女子の教育理念の3つのキーワードに近い考え方ではないだろうか。

☆女子校の未来を拓くヒントは、すでに理念の中にあったのだ。センター入試の前夜、そしてこれから中学入試が始まる。にもかかわらず、このような本質的な事業を展開している。普通だったらこうはいかない。とにかく、創造的な雰囲気があれば、入試も当然うまくいくという信念を貫き通しているわけだ。鴎友学園女子の教育は本物である。

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