09年首都圏中学入試[28] オバマ・ビジョンは≪私学の系譜≫
☆昨夜(21日)、日本時間の午前2時、オバマ新大統領の就任演説が行われた。共通の危機、今までに体験したことのない厳冬時代に立ち向かうためのオバマ・ビジョンが語られた。
☆日本人からすれば、えっ!なんでこんなに宗教的で道徳的なのかなとふと心の片隅で思うかもしれない。しかし、それは宗教とか道徳ではなくて、「建国の精神」の話なのであり、その精神に帰ろうという話だと思う。
☆日本では大きな物語は失われ、動物化された時代とか不可能性の時代に突入していると言われている。これはアメリカも同じである。しかし、オバマ新大統領は、その価値相対主義的なアイデンティティ不要な市場至上主義が、これほどの危機を生んだという認識が表明された。アメリカは変わる。アメリカが変われば日本も変わるのでは・・・。
☆就任演説から気になるフレーズを並べてみよう。
“It is the firefighter's courage to storm a stairway filled with smoke, but also a parent's willingness to nurture a child, that finally decides our fate.”
“honesty and hard work, courage and fair play, tolerance and curiosity, loyalty and patriotism”
“our liberty and our creed”
“hope and virtue”
“What is required of us now is a new era of responsibility”
☆本当に建国の精神に立ち戻るという話だろう。この精神、実は私学の建学の精神に通じる。この精神は、戦後教育基本法に通じる。オバマ・ビジョンは、そういう意味では≪私学の系譜≫である。
☆今私学が受験市場から私学市場に自覚的にシフトしようとしているのは、まさにオバマ・ビジョンを世界が受け入れる流れにシンクロしている。
☆オバマ新大統領自身、これから新しくチェンジする。しかしそれを実現する精神は古くからある建国の精神なんだと。
☆日本の戦後の憲法起草を支えたGHQ側のブレインは20代の若い学者だった。今回の就任演説のスピーチ・ライターも27歳だということだ。
☆普遍的な価値観を必要としない若者というバッシングは、どうやら当てはまらなくなる。日本でも≪私学の系譜≫、≪私学人≫がますます重要になるということでもある。なにせ、“parent's willingness to nurture a child”は≪官学の系譜≫的な発想より≪私学の系譜≫的な発想だからだ。
☆もっとも、軍事に関しては、オバマ・ビジョンと≪私学の系譜≫の発想では差異があるだろう。戦後教育基本法の精神の根本は内村鑑三の非戦論だからだ。
☆それは、ともあれ、あのポール・クルーグマン教授とともに“Welcome back, America.”と言いたい。
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