09年首都圏中学入試[30] 東京エリアの女子校波乱のおそれ
☆昨日21日、幾つかの私学の先生方とやりとりした。共立女子は、今までのサンデーショックと違って、2日の出願数の勢いが予想以上である。まだ、昨対比100%を超えていないというものの、それは織り込み済みで、いつもとは違う出足の速さが何を意味しているかということのようだ。
☆ところが、それとは逆に、いつもとは出願の数の増え方が遅いと感じている学校もあり、何か対策をと考えているところもあるようだ。この時期、受験生の保護者は、サイトをコマ目に見るので、様々な情報をどんどん更新した方がよいということになるだろう。
☆今回の現象は、直接金融危機によるものではない。むしろサンデーショックをサンデーハッピーに転換できたかどうかがカギになっていると思う。
1)女子御三家の増えた分、他の学校は順番に、いわば玉突き状態で受験生が流動する。今年は今のところ、表にあるように、10人以上応募者を増やしている学校15校に受験生が集中している。増えている学校の95%がこのリストに挙げられている学校で占められているのだ。
2)女子御三家の場合、自動的にサンデーショックはサンデーハッピーに転換。最低340人はバブルになる。
3)意外とオバマ大統領効果はあったのではないだろうか。1つは大統領の娘が、フレンドスクールに通うというニュースである。日本にもフレンド派の学校がある。新渡戸稲造がかかわった学校だ。普連土、恵泉、東京文化。今のところ東京文化は10人以上は増えていないが、昨対比100%を超える可能性がある。
4)フレンド派ではないが、フレンド派キリスト教に共鳴するプロテスタントの学校も注目されるだろう。内村鑑三派の学校の鴎友学園女子、フレンド派同様にプロテスタントの中の改革派の流れにある聖学院グループ。女子も男子も好調だ。
5)プロテスタンの中で、良し悪しは別として、英米の聖公会は、プロテスタントの中でエスタブリッシュ。アメリカ大統領のほとんどがこの派の出身である。
6)日本のエスタブリッシュなプロテスタントの学校は、軽井沢派でもある。香蘭の設立にかかわった宣教師ショーは、軽井沢建設に大きく貢献した。
7)軽井沢では、新渡戸稲造と内村鑑三が、夏季大学で、政財界人、文豪、学者と知的な活動をしたゆかりの場所。女子聖学院、東洋英和、鴎友学園女子、共立女子などの寮がある。
8)軽井沢と言えば、建築家・教育者のボーリーズ。彼の事務所設計の学校で、聖学院、玉川聖学院、フェリス女学院は有名。明治学院大学もそうである。明治学院大学と玉川聖学院の連携プログラムも着々と進んでいると聞き及ぶ。
9)偏差値にかかわりなく、クオリティスクールは注目されているが、その中でも50以上の偏差値校は、女子御三家に受験生が集まった分、いつもとは違う性格の受験生がたくさん流入するだろう。
10)学びや芸術の拠点としての新校舎建設、教育イノベーションによって、教育の質を見える化している学校に生徒が集まっている。やはりチェンジがテーマということか。横浜山手女子の激増は、その典型ではないだろうか。どんなに教育の質がよくても、毎年なんらかのイノベーション(小さな動きで構わない)をアピールしておかねばということか。
☆さて、御三家の定員枠は決まっている。それなのに、2月1日、2月2日チャンスにチャレンジする受験生がいるわけである。最低340人はバブルなのである。3日以降これがはじける。
☆受験生は、この合格の混乱に惑わされないように、きちんと学校選択をしておくことが肝要である。東京エリアは、昨年に比べ、21日現在で、出願件数は56.6%。これからまだまだ増える。他のエリアは現段階で80%以上なのだから、東京エリアだけが、このまま出願の動きが止まるということはありえない。
☆学校側もまだ時間があるので、サイトなどで、教育の質の情報を流したり、個別に相談に乗るチャンスを増やしたりすることが重要。もっとも、もうすでに行っている学校が多数ではある。東京女子学園のように予め23日に説明会を設定している学校があるが、先見性があるということだろう。保護者の不安を和らげる場として、ぎりぎりまで説明会は必要なのかもしれない。
☆オバマ大統領ではないが、子どもを育てる親の強い意志・信念が、今もっとも大切。それを支えるのはやはり私立学校自身なのである。
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