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09年首都圏中学入試[36] 立川国際中等教育と渋谷教育渋谷

☆本日25日から27日にかけて気になる中学校の入試が開催される。麗澤の2回目も、1回目同様応募者増である。

☆やはり教育の理想郷が人気があるというのは、このご時世ゆえに、光が見える思いがする。ただ、重要な点はこの理想郷、確かにメジャーではないが、精神はたいへんなグローバルな高さを有している。モラロジー研究所に代表されるように。

☆一方で、立川国際中等教育学校と渋谷教育渋谷の帰国生入試も増加している。この3校は、グローバルな教育観を持っているという点では共通している。

☆しかし、何ゆえの帰国生入試なのだろうか?帰国生の英語力は、相当高い。だから上智大学やICUは、英語力だけで入学できてしまうといっても過言ではない。また、東京大学も英語ができることは相当にアドバンテージが高い。

☆実際帰国生の大学進学実績への貢献度は計り知れないだろう。もしも、そのことが本音だとするのなら、それを堂々と謳った方がよいだろう。しかし、国際舞台で活躍できるリーダーを育成するために必要な協力者としての帰国生という位置づけになっているのではないだろうか。

☆これはしかし問題なのである。どこかに帰国生を活用しようという操作性があるからである。これは教育の本意ではあるまい。

☆その点、麗澤は、グローバル社会における普遍的倫理というものを伝統的に構築することにチャレンジしている。そのベースにおいて英語という世界に共通する言語をみんなで学ぼうというのは教育の筋だ。

☆さて、立川国際中等教育学校と渋谷教育渋谷の帰国生入試の意義の違いはどこにあるのだろうか?それは前者は、文化の多様性を同じ学習経験の中に流し込むことであり、後者は文化の多様性を多様性のまま尊重しようということなのである。

☆なんでそんなことがわかるのか、立川国際中等教育学校だって、文化の多様性を大事にすると目標に掲げているではないかと叱責されるかもしれない。

☆たしかにそうなのである。しかし、大事にするその仕方が、国策的イメージなのかどかは検討しなくてはならない。だが、公立学校はそこは不問のまま思考停止させられる。それが公立学校の限界なのである。

☆そこを批判的・創造的に脱構築しているのが麗澤であり、やろうと思えばできるのが渋谷教育渋谷なのである。ただし、渋谷教育渋谷の現場の教師がそこまで考えているかどうかはわからない。おそらく考えているのではないかとは思う。

☆文化の多様性の意味について、世界標準の定義があるし、その基準にのっとって、すでに多くの国々が政策展開している。その世界標準とは、2005年に、ユネスコ主催の国際会議で採択された「文化表現の多様性の保護及び促進に関する条約」(Convention on the Protection and Promotion of the Diversity of Cultural Expressions)である。冷戦終焉前から、幾度となく会議が開催され、ここに至るまでの宣言文が採択されてきた。

☆21世紀になって文化の多様性について本格的な基準ができあがったのである。残念ながら、これはEUの戦略で、文化産業や文化コンテンツの分野でアメリカの侵入を防衛するものであるという国際政治が背景にあるために、アメリカは反対しているし、日本は認めているが批准していない。

☆このユネスコの動きは当然、教育にも影響を与えている。OECD/PISAの動きは、ユネスコの文化コンテンツ保護の流れに乗っているし、プロジェクト学習なども同様だ。しかし、日本は重要性はわかっているが、公立学校全体の動きとしては鈍い。それはこのような重要な条約をどのように受け入れるか組織として決定していないからだ。

☆よいことだと思うが、それは一人ひとりの判断に任せますというのだから、学校としては重要視できない。スローガンに終わるのはそういう文化コンテンツに対する政策がはっきりしていないからだ。

☆一方、私立学校は、独自の教育理念に基づいて、学校の教育デザインができるので、文化の多様性を世界標準の基準を採用しようと決定すれば、学校全体で取り組めるのである。

☆まして渋谷教育渋谷に期待がかかるのは、ユネスコ国内委員会の会長が同校の理事長・校長の田村哲夫先生だからである。

☆もっとも、この委員会メンバー60人の中に都教委の教育長大原氏もいるのであるが。

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