09年首都圏中学入試[38] 学校選びは教育イノベーションの流れを見据えて
☆1980年代、世界の学びや教育のパラダイム転換が起こった。1982年のメキシコで行われた会議や1985年のイギリスのロイヤル・ソサエティ・レポートにはその兆しがあった。メキシコでは、文化の多様性の国際的な定義が生まれたし、ロイヤル・ソサエティ・レポートでは科学コミュニケーションが生まれた。
☆今年は89年ベルリンの壁が崩壊して20周年を迎えるが、その89年以降、世界の学びや教育のパラダイム転換は急激に進んだ。
☆OECD/PISAだとか、EQだとかガードナー教授の多次元知能(MI)とかは、その流れに乗っている。日本でも横断知だとか学際知とか呼ばれているコンセプトもそうである。スーパー・サイエンス・ハイスクールの設置もその流れだ。
☆しかし、日本では、その流れを俯瞰することはできず、断片的にしか取り扱えていない。その意識が明確化するのは、2005年以降である。しかも学力低下論とは別線で動いており、この新たな動きと新学習指導要領の動きは矛盾する可能性まである。
☆今年はリンカーン生誕200周年、ダーウィン生誕200周年でもある。オバマ大統領の多様性を受け入れる寛容な国際政治も話題を呼ぶだろう。世界は新しい学びや教育のイノベーションに邁進する。
☆にもかかわらず、今年から移行措置として始まる日本の新学習指導要領は、この流れに乗れていない。この指導要領が完全実施を終えるのに、あと10年ほどかかる。ここでまた、世界標準からはるかに遅れをとる。
☆輸出・輸入産業というドメスティックなマーケットの拡大戦略から本当の意味でのグローバルなマーケットにシフトしなければ、日本の国際政治経済のポジションニングは奪取されるところまできている。そのリスクマネジメントに教育は欠かせないという意識は高まっている。
☆にもかかわらず、教育のパラダイム転換は、またまた先送りである。なぜ、今私立中高一貫校を選ばなければならないか。国の教育がリスクマネジメントできないのであるから、私学に期待する以外ないのである。教育のリスクマネジメントは、自分の子どもの人生のリスクマネジメントである。このことに文科省は気づかねばならない。私学の教育の質に学ぶことは一つの選択肢だと思う。
☆公立学校と私立学校の本当の対話が、私たちの国や世界の国々を救うことになると思うが、大げさな話だろうか。
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