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09年首都圏中学入試[57] 麻布の社会の学際知

☆麻布の社会の入試問題を見て、いつも思うのだが、これを麻布の特徴で終わらせては、もったいない。知識的な問題は、本当に教科書レベルで、細かい知識を覚える必要はない。そのかわり、一生懸命なのか楽しんでなのか、ちょっとスリリングではあるが、考える。そして、考えたことを論理的に表現する。

☆こういう中学入試問題を他の学校も出題すれば、中学受験市場は、一挙に私学市場にシフトする。もちろん、受験市場はなくならない。受験市場が私学市場の知の促進の障壁になるのではなく、受験市場が私学市場をサポートできるポジショニングにシフトするということを意味している。

☆受験市場は、知の公正な配分に気にとめることはないメカニズムだ。一度暴走すると歯止めが効かない。麻布のような問いかけは、大量生産的な講義システムで対処できない。人件費がかかりすぎる。公正な配分に支えられた市場マネジメントを、一企業はしない。つねに抜け駆け戦術優先だ。

☆そんな市場経済とそういう市場経済を優先的に支援してきた国策そして都市政策が、地方の経済を悪化させている。

☆今年の麻布の問題は、この地域経済活性化に農村の地域市民がどのようなアイデアで、町づくりをしているのかあるいはしていくのかについて、山形の事例を通して問いかけている。

☆なぜ山形県か?NHKの大河ドラマ「直江兼続」のゆかりの地域があるかからか?現在の首都圏中心の経済活動は、明治以降の官僚近代の流れなので、近代以前に繁栄した日本海側の都市から考え直したかったのか?社会科の中に「本間先生」という名前の教師がいるのか?「蝦夷」という信長の前にすでにあった格差構造の問題も絡めたかったのか?いろいろあるだろうが、それだけにいろいろな角度から問いかけられている学際的な問題になっていることは確かである。

☆大きな政府による都市デザインも小さな政府による都市デザインも、いずれでもないデザインは何かを最終的に問いかけている。どちらもその地域の政治経済、労働の現状、地理的条件、自然の条件、人間の条件を知らずして政策を押し付けたり、あるいは無視して利益を優先するだけでは、地域は窒息してしまう。

☆結局は人間の問題、市民の問題がカギだということになるが、入試問題でここまで人間の智慧に迫る問題を出題できる学校はあるだろうか。麻布に学ぶ。麻布の理念に学ぶ。麻布の創設者江原素六に学ぶ。つまり私学人に学ぶ。私立学校の存在理由は、入試問題にも映し出されねばならない。

*今年の麻布の社会の問題は、インターエデュで公開されています。

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