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09年首都圏中学入試[59] 日能研 vs サピックス

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■ 日能研の鴎友学園女子の合格者数を間違って記載しましたので、表を至急差し替えます。大変ご迷惑をおかけしたことを、お詫び申し上げます。(090204 09:30)

■ 日能研の合格者数がすでに、更新されていましたので、ホームページを見た時点(090204 09:30)の数字に更新したものを掲載することにします。(090204 10:02)

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090204nvss ☆中学受験で、今や日能研とサピックスの合格実績は衆目を集めるターゲットである。両塾はすでに合格実績を公表し始めているので、比較表をつくってみよう。すると、日能研がふんばったということがわかると思う。

☆このことは一体何を意味するのか?

☆ここ数年、いわゆる御三家、栄光、聖光、フェリスなどでサピックスがドーンと合格実績をだしているから、これもまたいわゆる偏差値が高い生徒たちは、サピックスへという流れがでているのは推測に難くない。

☆そんな中での日能研の実績は、相当教務陣ががんばったということを示唆していると思う。偏差値に関係なく合格をさせる教務力は、もしかしたら日能研にあるということになるかもしれない。

☆日能研は高校入試のシステムを持っていないために、カリキュラムの作り方が横断知的である。東大以上の大きな枠組みで考えるハビトゥス(文化再生資本)が形成されている。これは東大を頂点としてそこから逆算して構築するサピックスのカリキュラムとは対極である。教科別にきっちり作ってくるサピックスの専門知は、消費者が見てわかりやすい。

*四谷は逆算方式ではなく、学習指導要領に準拠して積み上げ方式だと言われている。サピックスと日能研は、逆算なのだが、その起点がどこかという差異がある。サピックスは東大知。日能研は、バークレー知あるいはハーバード知。

☆しかし、日能研のカリキュラムの作り方は、横断的で学際的なので、スタッフ自身の間でも議論になる。合格一路を走ってた20年前は、専門知的発想でやってきたのだが、コンピューティング知を導入してからは、おそらくマルチ・インテリジェンスみたいな方向に大きく転換した。その方向は、学習指導要領とは全く別次元のものだったので、スタッフの中でもいつも喧々諤々だった。それが弁証法的な飛躍をもたらすというのが、かつての役員たちの発想だったが、今の若い役員たちにとっては、学際的な知がもはや当たり前になっているかもしれない。

☆受験というのは、相手が選ぶから、相手のルールに合わせなければならない部分が大きいから、そこから外れることをする必要がないという学びの戦略をとるのか、もっと大きく深い内容をやっていれば、受験などは通過点に過ぎないという学の戦略をとるかは、なかなか難しい。

☆受験なので、のびのび路線では、なかなかうまくいかないだろうが、かといって、前者のきっちり路線か後者のわくわく路線で行くかは迷うところである。

☆高偏差値の生徒が流れ込んでいるサピックスの場合、きっちり型でいくほうがリスクは回避できる。しかし偏差値輪切りで指導できない状況の時は、きっちり型とわくわく型の使い分け、つまり二刀流が効を奏すだろう。

☆おそらくそういうアクロバティックな力を注いだのが日能研の教務陣のフンバリだったのではないか。問題はそういう努力を日能研が組織としてきちっと評価するかだ。見た目の数字だけで評価するのか、質を問うのか?上場会社はそうはいかない。しかし、日能研はそうではない。

☆ところで、なぜ日能研に期待をかけるのかというと、それは日能研という塾が、受験市場と私学市場の両義性の中で揺れ動き続けているからだ。私立中高一貫校は、いわゆる御三家だけではないのである。もっといろいろな私学が多様に存在している。その多様性を認めることが、私学の文化を持続可能にする。

☆受験市場のポジショニングを確固たるものとしたサピックス。受験市場と私学市場の両義性市場のポジショニングを揺れ動く日能研。あとは私学市場が確固たるポジショニングを確保することだが、それは誰がやるのか。もちろん私学以外にないのである。

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