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09年首都圏中学入試[88] 今年のサンデーショックの時代精神

☆今年のサンデーショックは、時代精神と重なっている。だから、ショックによって揺さぶられた私立学校や私学市場が立て直しを図るとき、時代精神を吸収することになる。そういう意味では、サンデーショックの意義はある。

☆時代精神を反映している書籍が、この時期に出版されているのも興味深い。1つは前回紹介した「南原繁と戦後教育改革」だが、他に「中央公論2009年3月号」が挙げられる。

☆特集「大失業時代の闇」の論客がまさに時代を反映している。雨宮処凛さん、小杉礼子さん、城繁幸さん、八代尚宏さん、鈴木謙介さんである。雇用政策や政治、教育、つまりキャリアデザインの本質について語り合っている。新自由主義への冷静な批判と今すぐできる対症療法的選択でありながら普遍的な問題がそこから開けてくることが語りつくされている。まさに私学市場の精神的な側面の重要性に光をあてているのである。もちろん「私学市場」という言葉はでてこないが。

☆「それから日本語は亡びるのか」というテーマで東浩紀さんが語っているが、これなど麻布や筑駒、開成の国語の中学入試問題の構造について話しているようなものである。ここでも私学市場の話が語られているのである。もちろんそんな言葉で東さんは語っていないけれど。

☆なんといってもポール・クルーグマンのインタビューも私学市場の話だ。そして、苅谷剛彦さんと内田樹さんの話は、受験市場の批判の話。ただし、私学市場について直接は触れていない。要は現代思想や社会学の基本を教育の領域にわかりやすく接続していてるのである。それはそれで教育の領域でもそういう言説が広がることは、教育に何らかの変化が起こる兆しということになるだろう。

☆ただ、苅谷さんは、見事に私学市場の話を持ち出し、次の瞬間ひっこめている箇所がある。やはり時代の精神を感じている。オックスフォード大学で私学市場の精神の影響を受けている最中なのかもしれない。

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