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09年首都圏中学入試[91] 日本学園の次の一手

☆今年の生徒募集の増加率を見ていると、日本学園の勢いがよい。吉田茂が1年間ほどではあるが、ここで学んでいる。≪私学の系譜≫を調べていくと、吉田茂と南原繁という「二人のシゲル」が戦後日本の教育を大転換させている重要人物であることに気づく。

☆だから、前々から気になる男子校の1つであった。学校のサイトを見ると、OBの層が厚い。大活躍した人材がずらりと並んでいる。たとえば、

佐佐木信綱(歌人・国文学者)
横山大観(画家)
岩波茂雄(岩波書店創業者)
長谷川如是閑(ジャーナリスト)
永井荷風(作家)
鏑木清方(画家)
丸山千里(丸山ワクチン開発者)
上田敏(文学者)
高山樗牛(文芸評論家)
荒井注(元ザ・ドリフターズメンバー)
乱一世(タレント)

☆多くの人が知っている人材ではないだろうか。おそらく創立当初しばらくは、その名門の名をほしいままにしていた時期があったのではないか。しかし、1986年以降中学受験ブームになったが、同学園が中学を開設したのは10年遅れて96年。だから、それほど目立たなかったということもあるだろう。

☆ところが開設後10年の歳月が過ぎたころから、日本学園の生徒獲得力は実力を発揮し始めた。谷川平夫校長の日記が2006年4月から始まっているが、その日記を読んでいくと、日本学園の飛躍のエネルギーがここ数年蓄電されているのがわかる。

☆谷川校長は、同学園のOBで読売新聞で編集に携わり、大学でも教鞭をとっていた。だから知の人脈は豊富だろうし、なんといっても編集知・学際知のプロだ。新しい日本学園の改革に大きな影響を与えているに違いない。

09_2 ☆同学園のサイトやパンフレットをベースに、生徒獲得パワーシミュレーションをチェックしても、やはり高いスコアがつく。

谷川校長は、その最新の「校長日記」(09年2月23日)の中で、こう語っている。

日本学園をさらに<強い学校>に引っ張りあげるため、次年度の学校体制をどう工夫するか、などについて正月の頃より考え続けてきました。私が母校の校長になって3年5ヶ月です。

この間、学力レベルを上げることが懸案でしたが、もう少しのところでトップ校グループに入れないスポーツ部の実力アップも課題でした。

いま振り返って、この文武(勉学とスポーツ)両面で、学園はこの3年間、着実に前進をしてきたと実感しています。そして先週の教員会議で先生方にこう申し上げました。

「学園は、次年度から新しい目標を掲げる。皆さんは、勉学で、そしてスポーツで<にちがく>の旗を立てる! という強い気持で生徒を引っ張ってもらいたい」

☆卒業生を送り、新学期を迎えるにあたって、日本学園のビジョンを明快に表現するにはどうしたらよいのか考え続けているリーダーの姿が目に浮かぶ。たしかに、校長日記もサイトの表現も、簡明・明快・感銘の3要素が貫徹している。たしかに飛躍する何かがこの学園にはありそうだ。

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