伸びる学校[003] 鴎友・桜美林・聖学院②
☆近江八幡を訪れて実感したことは、ヴォーリズは生涯をこの地にささげたが、この地を、世界に愛と平和の精神を広める拠点としようとしたということである。
☆だから近江兄弟社という株式会社を起業し、お金を溜め、それを教育や医療に注いだ。近江八幡市の多くの住宅や教会などの建築をデザインした。つまり都市のインフラからカルチャまでコーディネートしたのである。近江商人と浄土真宗の文化にどうやって融合できたのか。それはいずれ考察するとして、現在7万人弱の都市は、ヴォーリズ・シティと呼んでもよいかもしれない。
☆実際ヴォーリズは、平和と愛を見える化するという意図で、中国や韓国のいたるところで建築デザインを手がけている。まさにヴォーリズは近江八幡をここから始まる拠点とし、現実化していったのである。写真は、ヴォーリズがその信念を表すときに描いた記号。
☆私立学校の役目は、都市生活=市民社会の創造なのであるというのがよくわかるロールモデルである。人口7万人弱の都市に近江兄弟社学園がかかわっている。東京の人口は1400万人弱。近江八幡市の約200倍の規模。
☆ななんと、東京の私立学校は200校は十分にある。ということは、近江兄弟社学園のようなミッションをもって、それぞれが市民社会を構築する働きをすることが可能なのだ。いや本当はすでに行っているが、規模が大きく200の都市に分かれているわけではないから、その役割が見える化されていないだけなのだ。
☆歴代の私学人の活躍や功績を見れば、なるほど自分の学校だけの運営をしていたわけではないとうことはすぐに思い浮かぶ。ヴォーリズの探究は、改めて私学人とは何か、私立学校の存在理由とは何かについて考える原点回帰の大きなきっかけになる。
P.S.
○近江兄弟社学園に立ち寄ったときに購入した本「『いのち』輝かせて―ヴォーリズの遺したもの」(道城献一著 発行 近江兄弟社学園 2006年)には、第二次世界大戦中、ヴォーリズが、アメリカに向かって叫び祈った詩が掲載されている。まるでオバマ大統領の言葉のようだ・・・。
アメリカよ、アメリカよ。
かつて勇気と自由の故郷であった国、アメリカよ。
時の呼びかけに目覚めよ。
権力への野望の足かせを払いのけよ。
自由を愛する汝のはじめの愛に立ち返れ。
すべての同胞の自由を愛する愛へ。
一人の大いなる父性のもとに我ら地上のすべての民、あらゆる民族、
皮膚の色、信条と出生門地を超えた愛へ立ち返れ。
弱気国々を支配し、遠き国々を略奪する列強に組するな。
汝は、この充満した時代において彼らの勝利者たれ。
憎悪の手ではなく、援助の手をさしのべよ。
汝は、公義の軍団を導き、人類を救いに導くために仕える人々の先導者たれ。
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