伸びる学校[007] 東京女子学園の新機軸本格始動
☆「09年首都圏中学入試[107] 東京女子学園の次の一手」で、すでに同学園の新機軸について紹介したが、それが3月11日~3月31日までの「春期講習」から本格的に動き出した。
☆英語、古文、現代文、数学、日本史、世界史の講習が始まったのである。私が見学したのは英語の「演習」。講義がたいへんおもしろく、目からウロコだと聞き及んでいるが、「演習」というのが気になった。
☆私学の幾人かの名数学教師や名英語教師に話を聞くチャンスがあるが、結局授業の中にどのくらい有効な演習時間を導入できるかがカギなのだという。最終的には生徒自身が自ら問題選定のプランを立て、自ら考えて解いていくしかない。
☆授業をいくら聞いてもわかった感覚にはなるが、それだけでは、「できる」感覚は身につかない。「できる」感覚は自らトレーニングしなければならないが、自分一人では何をやったらよいか判断つかない場合もあるし、独りよがりな場合も多い。
☆だから学習演習においても、アスリートと同様にトレーナーやサポーターチームが必要なのだ。学校の先生は、監督や理事の立場で、今回の外部の講師は、学習コーチやトレーナーのチームだと置き換えることができる。
☆そういう意味で興味シンシンだったのだが、期待通りの「演習」システムであった。1月から始めて3か月で、生徒たちは手離れしている。「演習」時に集中している姿からそれは伝わってくる。
☆外部講師でもあるプロジェクトリーダーは、つかず離れず生徒たちと程よい距離をとりながら、1人ひとりの学びの状況を最適化している。振り返りシートのコメントで、生徒のモチベーションも調整している。
☆「講義」-「演習」-「テスト」-「振り返り」のサイクルが、3か月で生徒1人ひとりに内面化し、循環している。そのサイクルの中に、さらに臨機応変にプリント教材が挿入される。知識を充実するための教材も別にあって、自分の力で記憶し引き出せるデータベースを自ら作っていける環境も設定されていた。
☆生徒たちは、「最初はなかなか集中できなかった。復習もしなければとはわかっていたけれどできなかった。そんなとき相談にのってもらったら、肩の力が抜けるようなメッセージをもらい、そのアドバイスに素直に従う気になった。そうしたら、今のようになった。わかるし、できるし、自分でやってるという感じがいいですね」と自分の学びの状態を的確に語ってくれた。
☆来春の大学実績は期待できそうだが、重要な点は、東京女子学園の生徒たちが、高い倫理観を持ち、そしてさらに進路を現実化できるスキルも獲得して育っていくという事態だ。教育のプロと受験のプロのパートナシップが、理想と現実のGAPを埋める。生徒のために最適の環境を提供する東京女子学園のタフな戦略。注目し続ける価値があると思う。
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