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伸びる学校[008] 獨協中学のビジョン②

Photo ☆獨協の新たなビジョンは、天野貞祐の思想の脱構築。しかし、これは否定して廃棄するということではない。天野流儀のカントのものの見方を現代に生かすということだろう。

☆さてそれはどのようにして?それを知る手がかりは、毎年発刊されている「WORKS」という論集。各教科で生徒たちは様々な論文を編集している。その中の傑作を選択して掲載している。その意味では麻布学園で発行している「論集」に似ている。

☆たとえば、中2社会の夏休みレポートに「ジョン万次郎と幕末時代の調査」というのがある。たんにジョン万次郎の生涯を調べているのではなく、ジョン万次郎が幕末にどんな影響を与えているか、日本近代の始まりを予感させる論文が掲載されている。

☆この切り口は、まさにカントそのものではないか。勝海舟がジョン万次郎の思想に感服しているところを切り取っているが、それは「アメリカでは高い身分に就いた者は、ますます深く考え、振る舞いは高尚になります。ここが日本と大きく異なっているところです」という箇所。

☆このような近代本来がもっている基本思想が、日本を変えたエネルギーだということに気づいているわけだ。この問題意識は、いうまでもなく現在の富裕層や地位の高い日本人の中には、やはりその振る舞いが高尚でないひとが多いというところにある。天野流儀のカントの「批判」の視点は、こうして在学生に受け継がれている。

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